米国のIT業界団体であるITAA(Information Technology Association of America)は米国時間4月2日に,米国のIT関連の労働市場について調査した結果を「When Can You Start? Building Information Technology Skills and Careers」にまとめて発表した。利益を上げているIT業界内外の米国企業(従業員数50人以上)から無作為に選んだIT担当マネージャ685人を対象にアンケートを実施したもの。

 それによると,米国でIT関連に従事する労働者は1040万人という。2001年における新規採用予定数は90万人で,2000年の160万人を44%も下回る。しかし人材不足は引き続き深刻で,人事担当マネージャは今年の熟練社員の不足は42万5000人に達すると予測する。ただし,2000年の不足数である約85万人と比べると50%の減少である。

 IT企業と非IT企業を比較した場合,2000年と同様に非IT企業のほうがIT従事者数を多く雇っており,現在の雇用者数は950万人。さらに64万人以上を必要とし,不足する人材は30万3000人近くにのぼる。

 全体的に見ると,非IT企業はIT企業の10倍のIT従事者数を雇っているが,1社当たりではIT企業における雇用のニーズが非IT企業よりも高い。典型的なIT企業は今後1年間にほぼ19人のIT従事者を雇用する予定である。一方,非IT企業の雇用予定数は2人を超える程度である。

 「米国経済の低迷は間違いなく2001年のIT従事者の需要に影響を及ぼしている。スキルのあるIT従事者の需要は,IT企業と非IT企業の両方で依然として高いが,実際の雇用には2000年と比べて慎重になるだろう。しかし我々の調査による2001年の数字をみると,IT従事者に対する雇用は決して停滞しているわけではなく,引き続き需要が供給を大きく上回っている」(ITAA会長のHarris N. Miller氏)。

 従業員を確保する上で最も重要なのは,非IT企業とIT企業のいずれでも,「優れた総合補償制度」だった。このほか,「職場の柔軟性」や「頻繁な評価と昇級」などが挙げられた。IT従事者の在職期間は非IT企業のほうが長く,82%が十分な期間在職している。IT企業におけるその割合は74%だった。在職期間の平均は非IT企業では36カ月,IT業界では30カ月である。

 そのほかの主な調査結果は以下の通り。

・IT企業と非IT企業のいずれでも最も需要が高いのはテクニカル・サポートで,今後1年間における新規採用全体の1/4を占める。しかし求人数は大幅に減少しており前年を65%下回る。

・2001年の需要はほとんどの職種で2000年を下回っているが,企業向けシステムでは62%,ネットワーク設計/管理では13%増加した。

・需要が下がった職種はテクニカル・ライティング(73%減),デジタル・メディア(62%減),データベース開発/管理(59%減)などである。また,WWW開発の雇用も減っており,今後1年間の需要は25%減少するとみられる。

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