「経済の先行きに対する懸念やドットコム企業の衰退や苦戦などが伝えられているが,世界のITサービス市場は2000年の6658億7000万ドルの規模から2005年には1兆4000億ドルの規模へと大きく成長する」。米GartnerのDataquest社が米国時間5月2日に調査結果を発表した。

 Dataquest社によれば,2000年における世界ITサービス市場の成長率は9.7%だった。2001年は12.5%程度で成長すると予測している。

 「経済の減速期には企業が生産性向上や事業プロセスのリエンジニアリング(再構築)に力を入れるため,こうした分野の需要から利益を上げられる。ミッション・クリティカルな機能や複雑な技術を組み込んだ製品のサポート・サービスも引き続き拡大しており市場を押し上げている」(Dataquest社主席アナリストのMichael Palma氏)。

 2000年のITサービス市場をカテゴリ別にみると,「開発およびインテグレーション」が1694億ドルに達し,最も大きなシェアを占めた。今後も好調で,2005年には3689億ドル規模に成長するという。2位には「事業プロセス管理(BPM:Business Process Management)」が1482億ドルで続いた。2005年には3455億ドル規模へと大きく成長する。

 2000年の世界市場を地域別にみると,北米市場が3450億ドルに達し,世界市場全体の52%を占めた。2005年には7120億ドル規模に成長し,シェアは52%程度を維持するとDataquest社は予測している。

 欧州が1728億ドルで北米に続いた。市場は2005年に3260億ドル規模に成長する。アジア太平洋地域は377億ドルで,2005年には1248億ドル規模へと他地域をしのぐ伸び率で急成長するとDataquest社はみる。

 「アジア太平洋地域では,多くの国々で政府がITプロジェクトを次々に立ち上げ,予算を増額しているため,市場が著しい成長をみせる。この地域での市場拡大は今後も公共支出が牽引することになる。また主要国の一部では,金融や通信関連など主要分野における規制緩和,事業再編,M&Aなどが市場を大きく押し上げる要因となる」(Dataquest社TI Services Asia/Pacific部門担当アナリストのAngelia Kho氏)。

 「ここのところ経済の減速に対する懸念が広がっているが,中長期的にみればIT産業には大きな成長機会があるといえる」(Dataquest社)。

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