米Jupiter Media Metrixが米国時間3月21日に,オンラインとオフラインを含む複数のチャネルを抱える小売り販売業者(マルチチャネル販売業者)に関する調査結果を発表した。

 マルチチャネル販売業者のオンライン顧客サービスがお粗末である場合,オフライン店舗での購入を控えるという米国オンライン購入者は70%。オンラインとオフラインを含むすべての販売やサービス・チャネルにわたる顧客の利用状況を把握するための統合アカウントを持つマルチチャネル販売業者はわずか18%だった。

 顧客との関係を維持し消費者の要望に応えたいのなら,マルチチャネル販売業者はCRM(customer relationship management)機能の統合を図るべきである。

 主な調査結果は以下の通り。

・マルチチャネル販売業者のうち,オンラインとオフラインを含むすべてのチャネルで顧客のトランザクションを追跡できる能力を備えている企業はほんのわずかである。オンライン購入者の67%は,店員が自身のオンライン・アカウントを閲覧できることを望んでいる。

・オンラインで購入した品物でもオフラインの店舗に返品したいというオンライン購入者は83%。また,59%はオンラインで商品を注文し,オフライン店舗で受け取ることを望んでいる。しかし,オンライン注文した品物をオフライン店舗で受け渡す体制が整っているマルチチャネル販売業者はわずか18%のみである。

・オンライン購入者の43%は,「いつも」店舗に品物を返品するという。「時々」店舗に返品するというオンライン購入者は95%。

 またJupiter社はマルチチャネル販売業者へのアドバイスとして以下の内容を挙げた。

・店舗での顧客サービス運用を充実させ,顧客関係の向上を図る。インフラのアウトソーシングやCRMアプリケーションの導入などでコストを削減する。これにより事業マネージャは技術ではなく顧客やスタッフに注意を向けることができる。

・ブラウザ対応のCRMアプリケーションを利用する。店舗マネージャは,各チャネルにわたる顧客のトランザクションを一元的に閲覧できるようにする。

・顧客の満足度チェックなど,顧客サービスのクオリティを点検する手法を取り入れる。

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