情報戦略/業務革新分野を代表する人物の1人として、ヤマトホールディングスのCIO(最高情報責任者)である小佐野豪績(ひでのり)執行役員(経営戦略、IT戦略、ソリューション・ラボ担当、写真1)に2012年の重要ニュースを選んでもらった。小佐野氏はITpro提携誌である日経情報ストラテジーが選ぶ「CIOオブ・ザ・イヤー2012」の受賞者でもある(受賞インタビュー記事)。
「2012年はヤマトが描いていたIT構想が一気に具現化に近づいた大きな1年だった」。小佐野氏は1年をこう振り返る。そのうえで重要な出来事が「タブレット」と「モバイル通信」の大変化で、関連するニュースを十大ニュースの上位に選んだ。
「タブレット」については、「7インチタブレットの登場が大きかった」と話す。『米アップルによるiPad mini発売』と『米グーグルによるNexus 7発売』のニュースの両方を1位に選んだ。
小佐野氏が7インチを重要視するのは、個人の立場からではなく、ヤマトホールディングスの中核であるヤマト運輸の宅配便事業に与える影響の大きさからだ。
「7インチ」はドライバーにぴったりのサイズ
具体的には、宅配便の集配を担うセールスドライバーに携行させる端末として使う可能性を検討している。「7インチはヤマトにとってちょうどいいサイズだ」(小佐野氏)。4インチ前後のスマートフォンのサイズでは現行の専用ハンディー端末と大差なく、操作性に劣る。10インチ前後のフルサイズのタブレットは、セールスドライバーに常時携行させるには重すぎるというわけだ。
ヤマトの現行システムにおけるハンディー端末の価格は、1台数十万円はかかる。「同じコストで、7インチタブレット端末なら5~6台は買える」(小佐野氏)。今はコストとの兼ね合いで、正規のセールスドライバーにしか携行させられないハンディー端末を、アルバイトなど臨時スタッフにも携行させられる可能性がある。
7インチタブレットではないが、米マイクロソフトが欧米で自社製のタブレット端末『「Surface(サーフェス)」を発売したニュース』を3位に選んだ。「ソフトウエアベンダーであるマイクロソフトがハードウエアに進出した。市場に与えるインパクトは大きい」からだ。
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