経営再建途上の米Yahoo!が、最高経営責任者(CEO)の学歴詐称問題に揺れている。5月8日(米現地時間、以下同)には、同社CEOのScott Thompson氏が学歴を詐称したと指摘されている問題で、事実関係などを調査する特別委員会を設置したと発表。学業記録について再調査するほか、CEO任命に当たって実施したチェックや情報開示に関する経緯についても調査することを明らかにした。
ことの発端は、投資会社の米Third Pointが5月3日、Yahoo!の有価証券報告書などに記載されている「Thompson CEOのコンピュータサイエンスの学士号」が事実と異なると指摘し、Yahoo!にThompson氏を解雇するよう求めたことにある。
Third PointはYahoo!株式の5.8%を保有する大株主であり、同社CEOのDaniel Loeb氏は2012年3月のYahoo!取締役会メンバー選出を巡ってYahoo!の経営陣と対立した経緯がある。このときLoeb氏は、自身を含む4人の候補者を擁立した。しかし経営陣はLoeb氏の提案をしりぞけ、「Loeb氏を指名することはYahoo!および株主にとって最大の利益にはならない」との見解を示していた。
経営不振に陥っていたYahoo!は2011年9月にCarol Bartz元CEOを解任し、Timothy Morse最高財務責任者(CFO)が暫定CEOを務めた後、2012年1月4日にScott Thompson氏を新しいCEOに任命。4月4日には全従業員の14%に当たる2000人規模の人員削減計画を発表するなど、経営再建の途上にある。
4月17日に発表された2012年第1四半期の決算では、売上高が12億2100万ドルで前年同期比1%増加。検索広告が好調で6四半期ぶりの増収となるなど、ようやく復調の兆しが見え始めたところだった。
CEOの学歴詐称問題
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業績と経営再建の経緯
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