米連邦通信委員会(FCC)は,米Vonage HoldingsのVoIP(Voice over Internet Protocol)サービスが個々の州の規制を受けるものではないとする判断を示した。Vonage社が米国時間11月9日に明らかにしたもの。

 Vonage社によると,FCCは,賛成投票3,同意投票2をもって,「Vonage社のVoIPサービスは州間サービスである」との見解で一致。「本来,州間をつなぐサービスであるため,各州の法律で同社を従来の電話会社と同様に規制したり,同社サービスの価格などの条件を管理することはできない」とし,「インターネット・ベースのサービスについてはFCCに権限がある」と主張しているという。

 Vonage社CEOのJeffrey A. Citron氏は,「FCCの先進的な思考の判断は,VoIPによる市場競争が始まっていることを明示している。当社は,より良いサービスの構築にリソースを集中し,全ユーザーへの緊急電話サービス(E-911)提供,新機能や新デバイスのリリース,サービス提供地域の拡大に注力する」と述べた。「FCCはインターネットに州や国の境界など無いことを理解している。人々は,VoIPからより多くの恩恵を得ることになるだろう」(同氏)

 米メディアの報道(InfoWorld)によると,FCCは「Vonage社のVoIPサービスは,ユーザーがブロードバンド接続で世界中から通話することができるため,市内通話,長距離通話,国際通話を区別するのが困難だ」と説明した。ただしFCCは,同社サービスが電気通信サービスであるか,あるいは規制を受けない情報サービスであるかなどについては,今回触れなかった。

 また,FCCの判断を受けて,米Qwest Communications Internationalやバミューダ諸島に拠点を置くGlobal Crossingなどが,賞賛の声明を発表している。

 「FCCの判断の重要性は,当社のように真のVoIPサービスを提供するキャリアにも広がる」(Qwest社会長兼CEOのRichard C. Notebaert氏)

 「こうした考え方が,今後もIPネットワークとサービスの革新と投資を促進する」(Global Crossing社CEOのJohn Legere氏)

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[発表資料(Vonage社のプレス・リリース)]
[発表資料(Qwest社のプレス・リリース)]
[発表資料(Global Crossing社のプレス・リリース)]