英British Telecom(BT)は米国時間6月9日に,英国内の公衆電話網(PSTN)をIPベースのネットワークに切り替える計画「21世紀ネットワーク(21CN)」プログラムを明らかにした。2006年に各地でユーザーの移行を開始し,2008年に大半の切り替えを完了する予定。

 BT社Wholesale部門チーフ・エグゼクティブのPaul Reynolds氏は「21CNプログラムにより,当社の統合マルチメディア構想を実現する。それは,顧客がどこにいても,どのデバイスからでも高速接続であらゆる通信サービスを利用できる世界だ」と述べた。「当社の運営を徹底的に簡素化し,大幅なコスト削減と,新サービス投入の期間短縮を目指す」(同氏)

 BT社は,今後5年にわたって,事業とコスト基盤の変換を図る。既存の異なる複数のサービス専用ネットワーク間における重複を取り除き,単一のマルチサービス・ネットワークを構築する。

 2006年の本格移行開始に先がけて,第1段階としてケンブリッジとウリッジのネットワーク間のコアPSTNをマルチサービスIPネットワークに試験的に切り替える。2005年1月までに,同地域周辺の1000世帯のユーザーが,IPベースの音声およびデータ・サービスを利用できるようにする。

 そのほか,21CNプログラムでは,光アクセス・サービスFTTP(fiber to the promises)のトライアル(2004年10月~2005年9月)なども実施する。

 21CNプログラムの総費用は,同社が発表済みの年間30億ポンドの設備投資予算内に収まる見込みだという。2004年より,同予算の約3分の2を21CNプログラムに関する新技術などに当てる。この割合は拡大していく予定。BT社は将来のインフラに対する投資により,2008年および2009年に,年間10億ポンドの現金節約を実現できると見込んでいる。

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[発表資料(1)]
[発表資料(2)]