米In-Stat/MDRは,無線VoIP(VoWLAN)市場に関する調査結果を米国時間6月2日に発表した。2003年において無線LANによる音声通話ができるVoWLAN対応の携帯電話機の出荷台数は6万台未満だった。しかし,価格設定が比較的高く,標準化された品質保証(QoS)と高速ローミングが欠如しているにもかかわらず,予想以上の企業が利用していることが明らかになった。

 調査の結果,企業ユーザーのおよそ10%がVoWLANを利用しており,48%が導入を検討していることが分かった。この結果をもとに,In-Stat/MDRは,2004年に企業におけるWLAN携帯電話機の成長率は120%になると予測している。

 「企業と家庭におけるWi-Fiデータ・ネットワークの普及が主な要因となり,2004年を通じてVoWLAN技術が大きく取り上げられてきた。通話状態を維持しながらシームレスに携帯電話とWLANネットワークを切り替えらえるような,携帯電話とWi-Fiハンドセットの統合に大きく期待が寄せられている」(同社Networking Research GroupディレクタのNorm Bogen氏)

 調査で明らかになったその他の結果は次の通り。

・現在VoWLANを導入している企業は,従業員が1000人を超える規模の企業がほとんどだった。また,採用しているWLAN装置は,米Cisco,米3Comといったハイエンドのベンダーのものだった

・VoWLANを利用している回答者の半数以上がPDAをWLANで利用しており,モバイル・ソフトフォンとしての役割りを果たしている

・IEEE802.11b対応の企業向けVoWLAN携帯電話機は2000年から出荷されている。過去数年において米SpectraLink,米Symbolが同市場でリードしている。主に医療,教育,小売り/倉庫業/流通,製造業の垂直市場向けに出荷されている。Ciscoは2003年中旬に製品を投入している

・家庭/SOHOにおいて,家庭向けVoIPサービスとともに低価格なWi-Fi対応の携帯電話が普及し始めている。2008年までにWi-Fi家庭ネットワークを配備するVoIP利用者の15%が,Wi-Fi対応の携帯電話機を所有するようになると予想される

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