米Spirent Communicationsは米国時間7月8日に,VoIPの展望に関する調査結果を発表した。電気通信業界の企業幹部1000人以上を対象にアンケートをとったところ,3分の2以上が「VoIPは広く普及する条件が整っている」との見解を示した。また,91%は「VoIP改革はすでに始まっている」と回答した。

 VoIP導入の最大の目的は,「コストの削減」と「画期的で豊富な機能」。続いて「新たなサービスの早期導入」や「ネットワーク・アーキテクチャの大幅な改善」,「大手事業者と小規模事業者,あるいはテレコム企業とケーブル企業が対等に競争できる」という意見が挙げられた。

 VoIPの見通しは明るいが,課題もある。回答者は「音質の低さ」「法規制」「ブロードバンド導入の遅れ」などが,VoIP普及の妨げになると指摘する。

 Spirent社Broadband部門Service Assurance担当プレジデントのJim Schleckse氏は「2004年はVoIP技術にとって躍進の年であり,今後を決める重要な年となる」と述べる。「VoIPが普及するためには,既存の電話サービスに匹敵する音質が必要だ。サービス・プロバイダはサービス保証のためのツールと人材に投資し,VoIPへスムーズに移行しなければならない」(同氏)

 また回答者は,今後VoIP導入をけん引する見込みのあるサービス・プロバイダとして,米Verizon,米AT&T,米SBC,米Comcast,米Vonageの5社を挙げた。

 ちなみに回答者の半数以上が,自社でVoIPを導入しており,45%は家庭でも利用しているという。

◎関連記事
英BTのネットワーク切り替え計画,2008年には固定電話回線の大半をIPネットワークに
米Agere,ブロードバンドVoIPサービスのための新技術「Unbreakable Access」を発表
米AT&T,アジアと欧州で企業向けVoIPサービスのトライアル
米AT&T,消費者向けVoIPサービスの提供エリアを10州増やし,全米22州72都市に
米Qwest,ミネソタ州で一般家庭向けVoIPサービスを提供開始
「企業の10%が無線VoIPを利用,48%が導入を検討」,米調査
「VoIP導入で米政府組織は年間30億~100億ドルの削減が可能」,米調査
「消費者の3/4がVoIPを知っている,Wi-FiやDSLより認知度高い」,米AT&Tの調査

[発表資料へ]