米Lux Researchが,ナノテクノロジ派生製品の市場規模に関する調査結果を米国時間10月25日に発表した。それによると,2014年におけるナノテクノロジを使った製品の売上高は2兆6000億ドルになるという。これは製造業全体の売上高の15%に相当する額である。現在は0.1%にも満たない。なお,この売上高はITおよび電気通信業界を合わせた規模に匹敵し,バイオテクノロジに比べ10倍以上大きい。

 Lux Research社は,「ナノテクノロジ派生製品の市場規模が大きく拡大するのに対し,カーボン・ナノチューブや量子ドットなど基本的な“ナノ素材”の売上高は2014年も130億ドルにとどまる」と見込む。

 「ナノテクノロジは1つの業界であると誤解されているが,実際は違う。あらゆる工業製品に適用可能な材料を操作するための,一連のツールや処理方法である。“ナノテクノロジ市場”などという神話を想像するのではなく,いかに活用するかを考えるべきだ」(同社)。同社は,2014年時点でナノテクノロジ派生製品は,一般的な工業製品の4%,電子/IT関連製品の50%,ヘルスケア/生命科学関連製品の16%を占めると予想する。

 また同社は,ナノテクノロジが以下の3つの段階を経て広まると予測する。

・第1段階:
 2004年まで。一部ハイエンド製品での採用が進む。関連製品の市場規模は130億ドル。そのうち85億ドルは自動車/航空機関連

・第2段階:
 2009年まで。商業的に躍進し,市場規模が2920億ドルに急拡大する。新しいナノスケール処理技術を使ったマイクロプロセサとメモリーが市場に登場することで,電子/IT関連製品が売上高の多くを占めるようになる

・第3段階:
 2010年以降。工業製品で基本的な技術となり,2014年の市場規模は2兆6000億ドル。ヘルスケア/生命科学関連製品での利用は,この段階で多くなる

 さらに同社は,「ナノテクノロジの普及が雇用環境にも波及効果をもたらす」と分析する。「2014年に全世界で製造業全体の雇用者数の11%にあたる1000万人が,ナノテクノロジを使った製品にかかわる」(同社)

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