米Multimedia Research Group(MRG)と米Fuji-Keizaiが米国時間7月15日に,ナノテクノロジ市場に関する調査結果を発表した。それによると,同市場はIP分野の明るい展望や,製品にナノ粒子を統合する企業の増加などに後押しされ,飛躍的な成長を遂げるという。短期的にみた場合,最も大きな事業機会を提供するのはナノ材料を取り扱う分野だという。

 「米国政府は,2002年度におけるナノテクノロジの研究費として6億400万ドルを予算を確保している。これは2000年度の予算2億7000万ドルから大幅に増額した。ナノテクノロジ市場は,PC,eビジネス,無線分野などでみられたような急成長を遂げる」(両社)

 ナノテクノロジに焦点を当てた企業も過去5年間に世界各地で急増している。2000年以降,米国のベンチャー投資会社でナノテクノロジ関連の企業に投資した企業は50社を超える。さらに,米IBM,米Motorola,米Hewlett-Packard(HP),米Lucent Technologies,米Corning,米Dow Chemical,米3M,日立製作所といった企業も,ナノテクノロジ関連の取り組みをはじめている。

 全米科学財団では,「ナノテクノロジ関連の製品/サービス市場が2015年までに1兆円規模に成長する」と予測している。しかしMRG社アナリストのElaine Mansfield氏は,「ナノテクノロジの革新や成長の速度は分野によって大きく異なる」と説明した上で「製品化が急ピッチで進むのは,ナノ材料の分野になる」と予測する。

 さらに両社では,「ナノテクノロジの応用がコンピュータ以外の分野で進むにともない,知的所有権の獲得に向けて,ナノテクノロジ関連企業のし烈な競争が繰り広げられる」と予測している。

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