EUV(Extreme Ultra Violet:超紫外線)リソグラフィー技術の研究開発コンソーシアムEUV LLCと米政府は米国時間4月11日に,同技術を使うLSI製造装置のプロトタイプが完成したことを明らかにした。

 プロトタイプの名称は「Engineering Test Stand (ETS)」。EUV LLCと米エネルギー省の三つの研究機関が参加し,官民協同体制で開発を行っていた。三つの研究機関とは,Lawrence Berkeley National Laboratory,Lawrence Livermore National Laboratory,Sandia National Laboratoriesである。なおETSの組み立てはSandia National Laboratoriesで行った。

 EUV LLCは2002年の予定についても明らかにした。EUV LLCのパートナ企業やリソグラフィ・ツールのサプライヤがETSを利用し,製造技術の調整などを行う。量産に耐える商業プロトタイプを開発するのが目的である。

 「ETSの完成はこの技術の実用化が可能なことを示したもので,この研究プログラムにとって画期的な出来事。我々の次のステップは,リソグラフィ機器メーカーと協力して商業プロトタイプと製造ツールを開発すること」(EUV LLCプログラム・マネージャのChuck Gwyn氏)

 EUV LLCは,米Intel,米Advanced Micro Devices(AMD),米Motorola,米Micron,独Infineon Technologiesなどが1997年に設立したコンソーシアムである。米国時間3月12日には米IBMもEUV LLCへの参加を明らかにしている

 次世代LSIの製造技術であるEUVリソグラフィーとは,チップの焼付けに可視光線でなくEUVを使う技術。可視光線に比べEUVの方が「ペン先」が細いことから,より精細な加工ができ,結果として少ない面積に多くの回路を集積することが可能となる。

 EUV技術を使うことで,2005~2006年にはマイクロプロセサ(MPU)の動作周波数が10GHzを超えるという(現在のPentium 4の最高動作周波数は1.5GHz)。またメモリLSIも同様の技術革新がなされ,そのデータ記憶容量も数十倍に増大する。

 なお米Intelは米国時間3月8日に,同社の技術者がEUV(Extreme Ultra Violet)リソグラフィーのフォトマスク(マスク)製造技術の開発に成功したと発表している(詳細は,「ムーアの法則はあと10年は大丈夫,米インテルが微細プロセス向け基盤技術を開発」)。

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