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「ムーアの法則を超える!」,米IBMが単一分子でコンピュータ論理回路“NOTゲート”を実現
「単一分子によるコンピューター回路を世界ではじめて開発した」(IBM社)。ちなみに,インターネット版ウォールストリート・ジャーナルによると研究に携わったPhaedon Avouris氏は,「現在のシリコンを用いたトランジスタ技術の物理的限界(ムーアの法則の物理的限界)は10〜15年後にやってくる」とみているという(関連記事)。 カーボン・ナノチューブは炭素分子で構成された,直径数nm(人間の毛髪の10万分の1)と細い円筒状の物質。IBM社は米国時間4月27日に,カーボン・ナノチューブでトランジスタの列を形成したことを明らかにしている。シリコンを用いたトランジスタに比べて1/500というサイズ。IBM社の新技術は,これまで不可能とされていたナノチューブ・トランジスタの大量形成を可能にするものだった。 研究チームは今回,このナノチューブ・トランジスタを使って回路を作った。小型で高速,消費電力の少ない,新しいコンピュータへと導く研究という。「今回の発表は,カーボン・ナノチューブを使った微小電子デバイスの開発で今年2度目となる大きなブレイクスルー」(IBM社)。 具体的には,カーボン・ナノチューブから電圧インバータ(voltage inverter)回路(NOTゲート)を作ることに成功した。電圧インバータは,今日のコンピュータの基本となる三つの基本論理回路(NOTゲート,ANDゲート,ORゲート)の一つ。単一分子(single-molecule)の論理回路を形成したのは「世界で初めて」(IBM社)。
さらにナノチューブ全体ではなく,単一のp型ナノチューブの一部だけを選んでn型に転換し,残りの部分をp型のままにしておくという方法も発見したという。単一分子の論理回路はこの手法を使って形成した。 またこの研究で重要なことは,「出力信号が入力信号より強くなる「利得」(増幅)現象が起こること」と同社は説明する。IBM社のナノチューブ回路の利得は1.6であることから,今後より複雑な回路も1本のナノチューブを使って構成できるという。 なおIBM社はこの技術をシカゴで開催されている全米化学会(American Chemical Society)の第222回総会「National Meeting」で発表する。 ◎関連記事 [発表資料へ] |