米Jupitermedia傘下のJupiterResearchは,米国のVoIP利用に関する調査結果を米国時間10月7日に発表した。それによると,VoIPを導入する米国家庭は,2004年末に約40万世帯に達する見込み。2009年には米国家庭全体の10%にあたる1210万世帯がVoIPを利用するようになるという。

 爆発的な普及が見込まれるVoIPだが,新規サービス・プロバイダにとっては(1)既存通信事業者が顧客ベースを確立していること,(2)若年層(18~24才)では携帯電話が普及していることが,主な障害となる。

 既存通信業者は,これまでに獲得した顧客ベースがあるため,そのブランド力とマーケティング力は絶大だ。消費者にとって大きな購入動機となるバンドル・サービスが提供できる。加えて,VoIPサービスは価格弾力性が低いことも,新規参入者には不利な条件だ。オンライン・ユーザーの約3分の1は「月額利用料が39ドル99セントになれば,VoIPを利用してもよい」としているが,38%の価格低下に対して需要は10%しか伸びない。

 また,若年層では,12%が「携帯電話が唯一の電話」と答えており,VoIPを使う可能性が最も低い。「VoIPプロバイダにとって,若年層を取り込むための最大のライバルは,大手電話会社ではなく無線通信事業者だ」(同氏)

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