米PeopleSoftの敵対的買収計画をめぐる米Oracleと米司法省の裁判で,カリフォルニア北部連邦地方裁判所がOracle社寄りの判断を下したことを受け,PeopleSoft社が新たな買収阻止対策を講じている。これについて米Oracleは,PeopleSoft社を非難するコメントを,米国時間9月21日に発表した。

 米メディアの報道(TechWeb)によると,PeopleSoft社は,Oracle社に買収された場合の役員および社員の退職給付金を増額する計画を先週発表した。業界では,この影響で買収費用が上がるとみている。

 Oracle社副社長のJim Finn氏は「必ずしもその通りではない。しかし,この行為は必ずPeopleSoft社の評価を下げる。PeopleSoft社は長い間,同社の株主から価値を奪い取る行動をとってきたが,これはその新たな手段に過ぎない」と述べた。

 米司法省は,Oracle社のPeopleSoft社買収が独占禁止法に抵触するとしてOracle社を提訴していたが,連邦地裁は「原告側(司法省)は,Oracle社とPeopleSoft社の合併が市場の競争を著しく損なうという主張を証明していない」と判断し,Oracle社が勝訴した。その際,Oracle社は,「PeopleSoft社の役員会は当社との会談に応じる責任がある」(Oracle社会長のJeffrey O. Henley氏)と主張した。現在Oracle社が提示している買付額は,PeopleSoft社株式1株当たり21ドル。

 なお,PeopleSoft社は「Oracle社がPeopleSoft社製品のサポートについて意図的に誤った認識を顧客に植え付けるキャンペーンを行った」と主張し,10億ドル以上の補償的損害賠償を求める訴訟を起こしている(関連記事)。しかし,別の米メディアの報道(CNET News.com)によると,審理の開始予定が2004年11月1日から2005年1月10日に延期されたという。

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