米PeopleSoftの敵対的買収を計画している米Oracleは米国時間5月14日,PeopleSoft社株式の公開買付価格を1株あたり26ドル(総額約94億ドル)から21ドル(総額約77億ドル)に引き下げることを発表した。

 Oracle社会長兼CFOのJeff Henley氏は今回の価格変更について,「市場状況とPeopleSoft社の市場評価額の変化を反映したもの」と説明している。なお,新たな提示額は,「PeopleSoft社株の5月14日終値である17.30ドルに21%上乗せしており,これまでの提示額より上乗せ率は高い」(同氏)という。

 またOracle社は,公開買付の期限延長も明らかにした。ニューヨーク時間2004年6月25日24時としていた期限を,同7月16日24時とする。ちなみに5月14日現在,Oracle社が取得済みのPeopleSoft社株は790万6545株だという。

 Oracle社が買い取り金額を変更するのは今回が3度目。同社は2003年6月9日に,1株当たり16ドル(買収総額は約51億ドル)を支払うとして公開買付を開始。同年6月18日に,1株当たりの金額を19.5ドル(同約63億ドル)に引き上げた。そして2004年2月4日に,1株当たり26ドルに引き上げる2度目の変更を発表した。Oracle社は買い取り期限の延長も繰り返しており,買収に向けた姿勢を崩していない。

 これに対し,PeopleSoft社役員会は,公開買付に応じないよう株主に勧告することを満場一致で決定。2004年3月に実施された株主総会の役員選挙では,People社の擁立した4人の候補が再選を果たした。

 こうした動きの中,米司法省の独占禁止法部門は買収を阻止するため提訴を決定し,欧州連合(EU)の独禁法当局である欧州委員会(EC)も調査を進めている(関連記事)。

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