医療関連の非営利団体Mayo Clinicは,米IBMのスーパーコンピュータ「Blue Gene」を導入するなどして治療分野の技術革新を図る。Mayo ClinicとIBM社が米国時間8月4日に明らかにしたもの。Mayo Clinicは,IBM社から技術協力を受けて患者データの収集/整理を行い,新しい治療法の開発や,“オーダーメイド治療”の提供を目指す。

 IBM社の協力により,Mayo Clinicは「現在取り組んでいる治療と研究を進歩させることに注力する」(Mayo Clinic社長兼CEOのDenis Cortese氏)。「各種技術やゲノム解析手法を用いることで,過去100年間に成し遂げた以上の成果を今後10年で得られる」(同氏)

 まずMayo ClinicとIBM社は,フォーマットが統一されていない患者データ440万件を整理し,単一システムに集約する。こうすることで,医師や研究者は,分析に利用可能な包括的なデータにアクセスできるようになる。

 データが整理できたら,データ・マイニングの手法で患者データを解析し,似た症状同士の比較などを行う。多くの症例を調べると,患者に合わせたオーダーメイド治療が可能になるという。

 「たとえば,体内のタンパク質を解明すれば,より適切な薬品を処方できる。さらに,特定の患者のデータを過去の例と比べることができれば,現在実施されているような治験実施計画に沿った治療ではなく,その患者の症状に合った治療を施せる」(Mayo Clinic,IBM社)

◎関連記事
米ニューオーリンズの医療施設Touro Infirmary,米IBMの中小型メインフレームでペーパーレスの病院を目指す
「当社は世界におけるスパコンのシステム数と処理能力合計で首位」,米IBMが調査結果を引用
米IBM,POWER5ベースのブレード・サーバーやスパコンをデモ
米IBMがスパコン「Blue Gene/L」について明らかに,2005年の完成を目指す
米IBM,生命科学データ命名用オープン・ソース・ソフト「LSID Resolver」を公開
蘭Philips,仏TAGSYS,米TI,医薬品市場向けのRFID利用報告書を公開
「自宅での生活を支援する医療関連製品の市場,2015年に340億ドルに到達」,米Forrester
オンライン医療コンサルティングの利用率はわずか3%,関心は高いが「お金は払いたくない」

[発表資料へ]