「米IBMは,世界におけるスーパーコンピュータのシステム数と処理能力合計において首位に立った」。IBM社は米国時間6月20日,世界のスーパーコンピュータ・ランキング「Top500 Supercomputer」の結果を引用するかたちで発表した。

 同ランキングは,ドイツのマンハイム大学,テネシー大学,ローレンスバークレー国立研究所の研究者たちが年に2回,世界中のスーパーコンピュータなどの大規模計算システムのデータを収集し,計算性能のトップ500を公表するもの。

 IBM社によると,世界中で導入されている同社製スーパーコンピュータは224システムで,TOP500のうち44.8%を占める。また,その処理能力合計は407テラFLOPSに達し,全体で占める割合は50%という。米Hewlett-Packard(HP)が処理能力合計では2位につけているが,HP社が全体で占める割合は19%で,その差は大きく開いている。

 今回,IBM社のスーパーコンピュータ「Blue Gene/L」のプロトタイプ2種が,初めてトップ10にランクインした。Blue Gene/Lは,既存の同等レベルのコンピュータと比べ約20分の1の大きさのため,「スペースや消費電力を大幅に削減できる」(IBM社)。

 4位につけたプロトタイプ「Blue Gene/L DD1」は,ピーク時の計算速度が16テラFLOPS。PowerPCプロセサ8000個以上の処理能力を,冷蔵庫サイズのラック4台に収納する。また8位にランクインした「同DD2」は,ピーク時の計算速度が11.47テラFLOPSである。

 Blue Gene/Lは,カリフォルニア州のローレンスリバモア国立研究所(LLNL)と,オランダの天文学研究機関,ASTRONへの納入が予定されており,2005年の完成を目指している。完成版では,ピーク時の計算速度が64テラFLOPSになる見通しである。

 ちなみに,スーパーコンピュータのトップ3は,1位がNECの「Earth Simulator(地球シミュレータ)」,2位が米California Digitalの「Thunder」,3位がHP社の「ASCI Q」である。なお,500位までの全ランキングは「TOP500 SUPERCOMPUTER SITES」で閲覧できる。

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