米IBMは,生命科学データの標準的な命名/検索仕様に対応したオープン・ソース・ソフトウエア「Life Sciences Identifier(LSID)Resolver」を公開した。IBM社が米国時間3月26日に明らかにしたもの。「タンパク質の構造やDNA配列など生物学的データの命名/検索に使う標準的な方法を提供する」(同社)とする。

 同社によると,現在運用されている生命科学データベースは,公開/非公開に関わらずそのほとんどが独自のデータ識別/アクセス方法を採用しているという。そのため,複数のデータベースのデータを統合しようとすると,研究者は膨大な雑用に煩わされる。

 LSIDでは,生物学的に重要なデータに関する共通命名方式を提供し,異なるシステムやデータベース間でのデータ共有作業を簡素化する。「大量のデータベースからの情報を統合する際に,科学者や生物情報科学者(バイオインフォマティシャン)の作業負荷を軽減することで,研究や新薬開発作業に貢献できる」(同社)

 LSID命名仕様の策定は,Interoperable Informatics Infrastructure Consortium(I3C)のメンバーが担当した。I3Cは生命科学関連データの相互運用性推進を目的とする組織で,生命科学/IT関連企業が2001年に結成した。

 IBM社は,LSID仕様の参照実装を最初に開発したI3Cメンバーの1社であるという。「オープン・ソース・コミュニティにLSID Resolverを提供することで,バイオインフォマティクス・データへのアクセスがより手軽になるよう願っている」(同社)

 なおLSID Resolverソフトウエアは,IBM社のWebサイトからダウンロードできる。

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