米Forrester Researchは,高齢者,慢性的な疾患をわずらう人などが入院から開放されるための技術に関して調査した結果を米国時間7月21日に発表した。同市場は,2008年まではゆっくりだが着実に成長し,それ以降は急速に伸びて2015年までに340億ドル規模に達するという。同社は,これらの人が自宅で生活することを支援する技術をまとめて「ヘルスケア・アンバウンド(Healthcare Unbound)」と名付けて調査を行なった。

 同社は,2015年までに60%の患者が長期的な入院から開放され,慢性的な病気を患う人の40%,高齢者の12%がヘルスケア・アンバウンド技術とサービスを利用するようになると予測している。

 調査により,消費者は,多くの医療関連の費用と同じようにヘルスケア・アンバウンドに関するソリューションへの支払いを第3者に期待していることが分かった。6000人の消費者を調査した結果,50%を超える回答者は家族の高齢者,病人,体が不自由な人に健康管理装置を身につけてほしいと望んでいる。しかし,大部分の消費者は,そのためのデバイスとホーム・モニタリング・サービスに年間100ドル未満しか支払うことを望んでいない。

 現在,GE社,QUALCOMM社,Roche Diagnostics社などが,ヘルスケア・アンバウンドを実現させるための装置や監視補助機器の開発を続けている。進行中のヘルスケア・アンバウンドの具体的な取り組みの一部は次の通り。

・Intel社とGeorgia Tech社は,低価格な無線ICタグ(RFID)を使った家庭環境のプロトタイプを開発した。身に付けたタグをセンサーが感知することにより,システムが高齢者の日常活動を追跡し,予想される活動から大幅に逸れた場合にメッセージやリマインダが送信される。

・デバイス・メーカーのPhilips Medical Systems社とMedtronic社は,患者の健康をリモートから管理するデバイスを構築して米食品医薬品局(FDA)から認可を受けている。Medtronic社の心臓モニターは,患者の体内に埋め込まれて外部に情報を送信する。

・HealthPartners社やKaiser Permanente社の医療保険では,予防を中心とする健康管理プログラムの参加者に対して保険料の還元を始めている。

・州をベースに活動するVisiting Nurses Associationsなどのヘルスケア・エージェンシは,より効率的に看護士を派遣するためにヘルスケア・アンバウンド技術を導入する。

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