米IBMは,同社の次世代マイクロプロセサ「POWER5」のデモンストレーションを初めて行ったと米国時間3月31日に発表した。IBM社は同プロセサを使用し,複数の仮想マイクロパーティション内で各種OSを動作させた。同プロセサを搭載したシステムは,2004年中にリリースする予定。

 同社は発表の場で,業界初のPower Architecture対応ブレード・システム「IBM eServer BladeCenter JS20」を公開したほか,POWER5ベースのスーパーコンピュータ「BlueGene」をデモンストレーションした。

 米メディアの報道(CNET News.com)によると,このBlueGeneは比較的低速で消費電力の少ないプロセサをいくつも組み合わせる点が特徴という。デモンストレーションしたコンセプト・システムは動作周波数500MHzのプロセサ32個で構成されており,演算性能は128ギガFLOPSある。同システムは2005年に提供を始める予定。

 IBM社は,プロセサ内部の物理的構成を変更する機能をPower Architectureプロセサの将来版に導入する構想についても明らかにした。IBM社システム&技術グループ主任技術者のBernard Meyerson氏は,「特定のアプリケーションに最適な性能や消費電力を提供できるよう,人間が介在することなくメモリー容量拡大やアクセラレータ追加などプロセサの物理的構成変更を行える技術を研究している」と述べる。「将来のプロセサは,現在のものとまったく違うものになるかもしれない」(同氏)

 また同社は同日,Power Architecureベース・プロセサの普及に向けた取り組みも紹介した。POWERプロセサや関連技術の導入を支援する目的のコミュニティを結成して評価キット「Power Architecture Pack」を無償提供するほか,技術情報を集めたポータルを開設する。さらに,世界各地で「Power Architecture Center」を運営し,POWERプロセサ関連の設計作業を支援する。

 さらに同社は,新たにソニーがPower Architectureのライセンスを取得したことも明らかにしている。

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