米IBMは米国時間11月14日,スーパーコンピュータ「Blue Gene/L」について明らかにした。IBMによれば,Blue Gene/Lの初回プロトタイプが世界のスーパーコンピュータ・ランキング「Top500 Supercomputer」の73位につけたという。
初回プロトタイプは,30インチ・テレビとほぼ同じくらいのサイズで,ピーク時の計算速度は2T(テラ)FLOPS。Blue Gene/Lの完全版は,この128倍の大きさとなり,64ラックで構成する。カリフォルニア州のローレンスリバモア国立研究所(LLNL)で構築し,2005年の完成を目指す。
完成すれば,「現在の最速スーパーコンピュータと比べて,6倍の計算能力を持ち,15分の1の消費電力で,10分の1以下のサイズとなる」(IBM社)。計算速度は約360TFLOPS。米メディアの報道(CNET News.com)によると,13万1072個のプロセサを使用する。
IBM社がBlue Gene/Lの当初の用途として想定するのは,ヒトタンパク質の折り畳みに関するモデリングだ。「タンパク質がどのように折り畳むか分かれば,病気の解明や治療の開発に役立つ」(IBM社)。またLLNLでは,宇宙論をはじめ,連星系ペアの反応,レーザー・プラズマの相互作用といった調査に利用する予定である。
なお,Blue Gene/Lは米国家核安全保障管理局(NNSA)の「Advanced Simulation and Computing(ASC)」プログラムの一環であり,NNSA管轄下のLLNLは,カリフォルニア大学が運営している。
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