米Crayのベクトル型スーパーコンピュータ「Cray X1」の量産版製品が米Network Computing Services(NCSI)の導入検査に合格した。Cray社が米国時間4月14日に明らかにしたもの。NCSIは,「量産版製品を受諾した初めての顧客」(Cray社)となる。

 Cray社によると,同社は2003年1月24日に,NCSIよりCray X1の量産版を2003年中に段階的に納品するよう注文を受けたという。注文総額は1500万ドル。

 Cray社会長兼CEOのJim Rottsolk氏は,「NSCIの導入検査に合格したことは,Cray X1にとって大きな成果だ。Cray X1がNCSIの検査で期待に沿う性能を発揮したことを意味する」と述べた。

 NCSIは,米陸軍高性能コンピューティング研究センター(AHPCRC)向けのシステム・インテグレーションとコンピューティング設備管理を請け負っている。「Cray X1の量産版は,米陸軍が使用する計算流体力学や計算力学,戦地気象予測などの複雑なアプリケーションの実行で,高い性能を実証した」(NCSI,Government Programs部門バイス・プレジデント兼AHPCRC Support Infrastructure担当ディレクタのPaul Muzio氏)

 Cray X1は,「世界最高のスーパーコンピュータとなるべく設計した」(Cray社)。最大で毎秒52兆4000億回(52.4テラFLOPS)の演算を処理でき,65.5Tバイトのメモリーに対応する。12.8ギガFLOPSという性能を持つプロセサを複数備え,1台のきょう体で最高819ギガFLOPSの演算性能を提供可能という。システムに搭載可能なプロセサ数は8個から4096個(ノード数は2から1024),メモリーは32Gバイトから65.5Tバイト。

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