米IDCは米国時間11月18日に,世界各地に設置されているスーパー・コンピュータ1030台の性能に関する調査結果を発表した。それによると,世界最速のスーパー・コンピュータはNECの「Earth Simulator(地球シミュレータ)」で,2位の米IBM製より8.1倍速いという。

 調査では,HPC(高性能コンピューティング)コミュニティからの詳細な情報提供をもとに作成した「IDC Balanced Rating」ベンチマーク・テストを採用。プロセサ性能,メモリー機能,拡張性の3つの分野に焦点を当てて実効性能を評価した。

 調査対象となったスーパー・コンピュータは,価格帯によって4部門に分類されている。「Capability」部門は,世界で最も困難な問題を解決するために設計されたシステムで,価格の制限なし。「Enterprise」部門は100万ドル以上,「Divisional」部門は25万ドル~99万9000ドル,「Departmental」部門 は25万ドル未満である。また各部門は,シングル・システムとクラスタの,二つのカテゴリにも分類されている。

 主な調査結果は以下の通り。

・最速のコンピュータは,4万478ポイントを獲得したNECのEarth Simulatorである。2位のコンピュータより8.1倍速い。2位はIBM社の「ASCI White」で,4967ポイントだった。

・IBM社のコンピュータは「Capability」部門のトップ10に3台ランクインした。また「Enterprise」部門のクラスタ・カテゴリでは,IBM社のコンピュータが上位5台すべてを占めた。

・米Hewlett-Packard(HP)は,4部門のトップ10すべてにランクインした。「Capability」部門に3台,「Departmental」部門に6台ランクインしたほか,「Enterprise」部門では2位を獲得。また,「Capability」部門のクラスタ・カテゴリには4台,Divisional」部門のシングル・システム・カテゴリでは3台ランクインした。

・トップ10にランクインした最も新しいベンダーは米Linux NetworXである。

・米SGIは全カテゴリのトップ10にランクインした。シングル・システム・コンピュータでは首位に立ち,その他4台も10位内に入っている。また「Departmental」部門でも1位を獲得した。

・米Sun Microsystemsは「Divisional」部門トップ10のうち1位を含む7台,「Enterprise」部門トップ10の6台を占めた。「Divisional」部門のクラスタ・カテゴリではトップ10のうち5台を占めた。

・米Crayは,シングルシステムのトップ10に5台ランクインした。

・シングルシステム・カテゴリの上位25台は,SGI社とCray社の独壇場となった。SGI社が14台,Cray社が11台ランクインした。

・市場としては最大規模の「Departmental」部門には,HP社とSGI社のコンピュータがそれぞれ11台ずつランクインした。

◎関連記事
Made in Japanの威力を見せつけたスパコン性能ランキング
科学技術計算で日本の優位が揺るがない理由
米クレイがトロント大学にスパコン「SX-6」を2台納入,「日本の地球シミュレータと同じ基盤技術を採用」
米クレイ,スパコン「Cray X1」を発表。演算速度は52.4テラFLOPS,メモリーは65.5テラ・バイト 
米SGIが高密度のスパコン「Origin 3900」を発表,計算密度が4倍
米サンがグリッド・コンピューティング・ソフト「Grid Engine」の新版をリリース
グローバル・ネットワークの未来!? “Grid Computing”
「2004年にはLinuxが高性能コンピューティング市場で勢力を拡大」,米アバディーンの調査

[発表資料へ]