米Adobe Systemsが,企業向けのドキュメント管理ソフトウエア「Adobe LiveCycle」を米国時間6月8日に発表した。同ソフトウエアのドキュメント・サービスを利用すると,ビジネス・プロセスを企業アプリケーションに統合して自動化できるという。同ソフトウエアは,PDF技術とXMLなどの標準規格を組み合わせた企業市場向けプラットフォーム「Adobe Intelligent Document Platform」の新製品として提供する。

 Adobe LiveCycleは,Java 2 Platform, Enterprise Edition(J2EE)とXMLをベースとするソフトウエア。Java APIを備え,各種Webサービス用プロトコルに対応しているので,「企業インフラへの統合が容易」(Adobe社)という。提供するドキュメント・サービスには,プロセス管理用とドキュメント制御/セキュリティ用の2種類ある。

 プロセス管理用ドキュメント・サービスとしては,「Adobe Form Manager」「Adobe Form Server」「Adobe Barcoded Paper Forms Solution」「Adobe Reader Extensions Server」「Adobe Designer」を用意する。これらのサービスにより,トランザクションの範囲を拡大し,さまざまな形態の情報を効率よく収集/管理/追跡できるようになる。

 ドキュメント制御/セキュリティ用としては,「Adobe Document Security Server」「Adobe Policy Server」(2004年後半に利用可能とする予定)がある。このサービスは情報アクセスを制御し,記録の利用に対する監査記録を作成する。デジタル署名によりドキュメントの信ぴょう性も確保できる。

 IBM WebSphere用に最適化してある。JBoss上でも動作可能。また,2005年前半にはBEA WebLogicでも利用可能とする。対応OSは,IBM AIX,Microsoft Windows Server,Red Hat Linux,Sun Solaris,HP-UX。Novell SUSE LINUXは2005年前半に対応させる。

 Adobe LiveCycleは直ちに利用可能とする。価格はプロセサ数とユーザー数によって異なる。

 またAdobe社は同日,米Corningと子会社の退職者/従業員を対象とする金融共同組合Corning Credit UnionがAdobe Intelligent Document Platformを利用していることを明らかにした。同組合は同プラットフォームを導入したことで,組合員がオンライン入力した融資申込書のデータから,Adobe PDF形式の書類を自動作成できるようになった。

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[発表資料(Adobe LiveCycleその1)]
[発表資料(Adobe LiveCycleその2)]
[発表資料(Corning Credit Union)]