米IBMは,65ナノメータ(nm)製造技術を用いた次世代チップ生産向けに,ソニー・グループから3億2500万ドルの投資を受ける。IBM社が米国時間2月2日に明らかにした。

 ソニー・グループの投資により,IBM社は新たなマイクロプロセサ「Cell」(開発コード名)などの生産体制を構築する。IBM社の300mmウエーハ対応半導体製造工場を利用する。新たに製造するチップは,次世代コンピュータ・エンターテインメント・システムをはじめ,ソニーの次世代デジタル民生電子機器に採用される予定。

 IBM社は,ニューヨーク州イーストフィッシュキルの300mmウエーハ対応半導体製造工場で,Cellやソニー製品向けチップの試験生産を2005年前半に開始する。

 IBM社Systems and Technology Group部門技術担当グループ・エグゼクティブ兼上級バイス・プレジデントのJohn E. Kelly氏は,「ソニーのような企業が,SOI(Silicon On Insulator)技術,複雑な半導体設計,高度な製造の知識を利用するためにIBM社に目を向けつつある」と述べた。

IBM社,ソニー,東芝は,テキサス州オースチンの共同研究所で,次世代コンピュータ・エンタテインメント・システムおよび民生電子機器向けの半導体製造技術とCellの開発に取り組んでいる。

 ちなみに米メディアの報道(TechWeb)によると,ソニー・グループは,ソニー・コンピュータエンタテインメントが長崎県に保有する「Fab2」と,東芝が大分県に建設中の製造工場にも資金を投じる。IBM社への投資も含めた総額は約11億ドルにのぼる。

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