米AT&T Wirelessは数社から買収の打診を受けていることを,米国時間1月22日に明らかにした。同社によると,「世界および米国業界の変動も踏まえて,当社役員会が戦略的決断を下す」としている。
「役員会は各選択肢を検討し,株主にとって最良の方針を選択する」(AT&T Wireless社)
ちなみに米メディアの報道(CNET News.com)によると,同社買収に名乗りを上げているとみられる企業には,米Cingular Wireless,米Nextel Communications,NTTドコモ,英Vodafoneなどがある。
また同社は,2003年第4四半期の決算を同日発表した。売上高は前年同期比4.1%増の42億1500万ドル。そのうちサービス収入は同4.4%増の39億400万ドルで,装置収入は同0.5%増の3億1100万ドル。1株当たり損失は3セントで,前年同期の5セントから赤字を縮小した。
減価償却前の営業利益(OIBDA)は8億9000万ドルで前年同期と比べ2.6%減少した。ブランド広告キャンペーン,番号ポータビリティ制度(LNP)への対応,リストラ関連,CRMソフトウエア・プラットフォームの新規導入などの費用が影響した。これらの経費はあらかじめ予定していたもの,LNPの対応とCRMソフトウエア・プラットフォームの導入に予測以上の費用がかかった。
ユーザー1人当たりの平均売上高(ARPU)は58ドル70セントで,前年同期から2.2%減少した。昨年のホリデー・シーズンに加入したユーザーの契約期間が1年で切れることや,LNP導入などにより,解約率は3.3%となった。新規加入ユーザーは12万8000人で,2003年末時点の総ユーザー数は2200万人に達した。ユーザー1人当たりの平均通話時間は551分で,前年同期と比べて8.7%増加した。
2003年通期の売上高は前年比6.8%増の166億9500万ドル。そのうち,サービス収入は同8.1%増の156億5900万ドルで,装置収入は同9.8%減の10億3600万ドルだった。1株当たり利益は16セント。前年は1株当たり損失87セントを計上していた。OIBDAは44億7700万ドルで,前年と比べ17.1%増加した。
なお同社は,2004年通期のサービス収入が,前年比5%ほど増加すると予測している。
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