米TNS Telecomsは,携帯電話機買い替えの際に,事業者に関わらず同一番号を保持できる番号ポータビリティ制度(LNP:Local Number Portability)の施行を控えて,ユーザーの動向に関する調査結果を米国時間10月30日に発表した。同社によれば,携帯電話を所有する世帯の27%が競合会社からより低い利用価格を提供されなくても1年以内に通信事業者を切り替える可能性があるという。
米連邦通信委員会(FCC)は2003年11月24日から無線事業者間のLNPを義務づける予定で,これ以降ユーザーは携帯電話機の番号を変えることなく事業者を乗り換えることができる。
調査によれば,携帯電話を所有する世帯の27%は,1年以内に通信事業者を切り替える意向を示している。利用料金の10%割り引きが提示された場合,事業者を乗り換える可能性がある世帯数は62%に上り,20%割り引きでは73%に上昇する。
■表1:通信事業者を乗り換えると予測される世帯数の割合 ========================================================== 割り引き率 乗り換える世帯の割合 ---------------------------------------------------------- 割り引きなし 27% 5% 48% 10% 62% 15% 69% 20% 73% ========================================================== 出典:TNS Telecoms社
携帯電話ユーザーは,通信事業者の乗り換えに対して強い要望を明らかにしているが,無線通信事業者が直面する顧客喪失のリスクは一様ではない。たとえば, Nextel社の顧客が他事業者に切り替える可能性は業界平均から20%低い。また,T-Mobile社の顧客の4分の3は,たとえ10%の割り引き率であっても喜んで事業者を乗り換えることを明らかにしている。
「この先1年における市場シェアの大きな変化と顧客の解約に注目すべきである。顧客の契約期間が終るときに,同じ電話番号を保持しながら事業者の切り替えができることを知れば,明らかに業者間で勝者と敗者が生まれるだろう」(TNS Telecoms社副社長のCharles White氏)
■表2:通信事業者別,乗り換えるが予測される世帯数の割合 ======================================================== 事業者 同一料金 10%割り引き 20%割り引き -------------------------------------------------------- Alltel社 31% 65% 78% AT&T社 25% 64% 72% Cingular社 28% 64% 76% Sprint社 30% 64% 74% T-mobile社 31% 71% 78% US Cell社 27% 71% 74% Verizon社 23% 59% 71% Nextel社 22% 55% 64% ======================================================= 出典:TNS Telecoms社
顧客の解約希望につながる要因として,さまざまな理由が挙げられているが,その1つに誇大広告がある。将来,事業者の乗り換えを希望する顧客が自分の通信事業者を評価した場合,誇大広告に関する評価は業界平均から24%低かった。また,ティーンエージャーがいる世帯は,事業者を切り替える可能性が高いことも明らかになった。
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