米Gartnerは米国時間12月8日,2003年第3四半期における世界の携帯電話機市場に関する調査結果を発表した。販売台数は前年同期比22%増の1億3280万台で,事前予測を上回る急成長を遂げた。

 Gartner社Mobile Communications部門主席アナリストのBen Wood氏によると,「2003年は市場が思いがけない勢いで成長しており,年内に販売台数合計が5億台に達する可能性もある」という。

 大手ベンダー間の競争が激化している。首位に立つフィンランドのNokiaは,ドイツのSiemensや韓国のSamsungに追い上げられ,シェア縮小を余儀なくされた。韓国のLG Electronicsは僅差でソニーとスウェーデンEricssonの合弁企業であるSony Ericssonを抜き,トップ5に浮上した。

 Wood氏によると,「市場の成長を後押ししているのは,買い替え需要をつかんだ成熟市場と,新規加入者が驚異的な勢いで伸びているアジア太平洋および欧州市場」である。成熟市場では,カラー・ディスプレイやカメラ搭載機種が売り上げをけん引しているほか,低価格機種の需要が安定している。

■2003年第3四半期における世界携帯電話販売台数の速報値(単位:1000台)

                      2003年Q3  市場      2003年Q3     市場
                      販売台数  シェア    販売台数     シェア
メーカー                      (%)                 (%)
------------------------------------------------------------------
Nokia               45,380.8    34.2      38,575.9    35.5
Motorola            19,484.3    14.7      17,170.1    15.8
Samsung             14,837.4    11.2      11,439.8    10.5
Siemens             12,110.4     9.1       8,081.7     7.4
LG Electronics       7,081.9     5.3       4,030.7     3.7
Sony Ericsson        7,065.1     5.3       5,100.5     4.7
その他              26,883.8    20.2      24,357.6    22.4
合計               132,843.7   100.0     108,756.4   100.0
------------------------------------------------------------------

注:速報値は,iDEN対応電話機とWLL製品の販売台数を含むが,
ODM,OEM製品は含まない。

出典:Gartner社のDataquest(2003年12月)

 2003年第3四半期は,世界の全地域で前年同期と比べ18%以上成長した。北米は,より小型のカラー・ディスプレイ搭載機種に買い替えるユーザーが多かった。Gartner社は,11月24日に米国で施行された番号ポータビリティ制度(LNP:Local Number Portability)によって,買い替え需要が一層盛り上がるとみる。

 Gartner社EMEA部門Mobile Communicationsグループ担当業界アナリストのCarolina Milanesi氏によると,欧州/中東/アフリカ(EMEA)の販売台数は,西欧の買い換え需要がけん引し,世界販売台数合計の35.5%を占めた。また,東欧の販売台数も伸びており,ロシアでは500万台に達した。

 「アジア太平洋地域は,SARS(重症急性呼吸器症候群)の影響から立ち直り,インドの急成長が市場に弾みをつけた。また,同地域の今後の行方を握る中国では,米Motorolaがリードしているものの,Nokia社が背後に迫ってい
る」(同社アジア太平洋地域部門Mobile Communicationsグループ担当業界アナリストのAnn Liang氏)

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