米連邦バージニア州東地区裁判所の裁判長Claude Hilton氏は,米AOL Time Warner傘下のAmerica Online(AOL)が起こしたスパム送信者に対する提訴を管轄外として棄却した。米Albo & Oblonが米国時間12月30日に明らかにしたもの。AOL社は,バージニア州にある同社のコンピュータ・システムを使ってスパム・メールを送信したとして,フロリダ州に住む複数のコンピュータ技術者を訴えていた。これに対し同裁判所は12月24日,「AOL社の事業拠点がバージニア州にあり,問題のスパム・メールがバージニア州を経由したという理由だけでは,バージニア州でフロリダ州の被告を訴える要件を満たさない」との判断を下した。

 さらに同裁判所は,「インターネット経由で何かを送信するという行為自体は,こうした訴えの根拠としては不十分」と結論付けた。

 Albo & Oblon社のパートナ企業であり,同訴訟で被告の弁護人を務める米Seth Berenzweigは,「AOL社の訴えを棄却した同裁判所の判断は,バージニア州で起こされた州外被告を対象とするすべてのスパム訴訟に影響するだろう」と述べた。

 なお米メディアの報道(CNET News.com)によると,訴えの棄却を受けAOL社は,補足情報を添えてバージニア州で再提訴するか,フロリダ州で訴訟を起こすかのいずれかの対応を取る方向で検討中という。

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