米Microsoftは,違法に多数の詐欺的電子メールを送信したとして,スパム業者の一味を提訴した。Microsoft社が米国時間12月18日に発表したもの。同社はニューヨーク州司法局と協力し,半年にわたって調査を行ったという。

 Microsoft社が訴えたのは,電子メール・マーケティング会社の米Synergy6と,スパム常習者リスト「ROKSO(Register of Known Spam Operations)」でワースト3に名前が挙がっているScott Richter氏。当局は,Richter氏が,ワシントン州,テキサス州,ニューヨーク州に住む共犯者と,ニューヨーク州およびワシントン州法に違反する7件のスパム送信行為に関わったとしている。これらのスパム送信行為では,発信者名の偽装,詐欺的な件名,虚偽のサーバー名,不正確な発信元アドレスなど,一般的なスパム・メールの手法が使われており,「Richter氏とその共犯者は,6大陸の35カ国にわたる514のIPアドレスを悪用して違法にスパム・メールを送信した」(Microsoft社)。

 「現在我々が立ち向かっている違法で詐欺的なスパム・メールは,合法的な電子メールを圧倒し,インターネットの可能性を脅かしている,当社は,再び消費者自身が電子メール受信を管理できるよう,ニューヨーク州司法長官とともに注力する」(Microsoft社常務取締役兼法務顧問のBrad Smith氏)

 Smith氏によれば,Microsoft社は数千万通のスパム・メール送信源として悪用されているコンピュータをニューヨーク州内に検出し,ニューヨーク州司法局に情報を提供。当局が捜査した結果,これらのスパム・メールはもともとSynergy 6社から発していることをつきとめた。Synergy 6社はRichter氏と同氏の会社OptInRealBigに作業の下請けを出していた。Richter氏はコロラド州に住み,OptInRealBig社はネバダ州にある。実際にスパム・メールの発信を行っていたのはOptInRealBig社の社員で,そのうち主要人物は米Delta 7 Communicationで働いているテキサス州とワシントン州の住人だという。

 またMicrosoft社はこのほかにも,スパム業者に対して5件の訴訟を起こしたことを明らかにした。

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