スパム・メールを禁止する「Controlling the Assault of Non-Solicited Pornography and Marketing(CAN-SPAM)」法案にブッシュ米大統領が署名したことに対して,業界各社が米国時間12月16日にコメントを発表した。

 米メディアの報道(CNET News.com)によると,同法案は2004年1月1日に発効する。企業が既存および新規の顧客に対して連絡を取る方法を定めており,詐欺的な件名の電子メールや,適切な表示がない性的内容の電子メールは禁固刑の対象となる。米連邦通信委員会(FCC)が法執行の権限を持ち,また「Do Not E-mail」(電子メール拒否)リストの作成にあたる予定。

 米Yahoo!,米AOL Time Warner傘下のAmerica Online(AOL),米eBayなどは,同法案の成立に賞賛の意を表した。

 「スパム・メールは消費者と企業にとってかつてないほど大きな脅威に成長しており,米国経済に与える影響も拡大している。この法規制は,消費者とインターネットにとって勝利といえる。また,企業はこれを法的な武器として,スパム・メールと戦うことができる」(Yahoo!社)

 「スパム・メールとの戦いにおける真の転機だ。迷惑メールにうんざりしている当社サービスのメンバーにとって,大きな前進となる」(AOL社)

 「スパム業者によって米国経済は数十億ドルの損失を被り,インターネットは重大な損害を受けた。米国議会と大統領は,スパム業者の破壊的行為をこれ以上見逃すわけにはいかないという強いメッセージを送っている」(eBay社)

 しかし,同法案の効果を疑問視する声もある。電子メール・マーケティングの米TargetXは,「今後もわずらわしい迷惑メールが受信箱にあふれ続けるだろう」と述べている。

 「残念ながら,同法案は最も悪質なスパム業者にとっては何も効き目がない。スパム・メールの90%は世界中の200にのぼるグループから送られてくる。これらのスパム業者は,米国法の及ばないところで活動している。その上,彼らは身元を隠し,当局の追跡をかわすことができる。つまり,同法案の罰則はまったく無意味だ」(TargetX社CEOのBrian Wm. Niles氏)

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[発表資料(Yahoo!社)]
[発表資料(AOL社)]
[発表資料(eBay社)]
[発表資料(TargetX社)]