米国議会がスパム・メールを禁止する「Controlling the Assault of Non-Solicited Pornography and Marketing(CAN-SPAM)」法案を最終的に承認したことを受け,米AOL Time Warner傘下のAmerica Online(AOL)は米国時間12月8日,法案通過を支持するコメントを発表した。

 米メディアの報道(CNET News.com)によると,米下院は同日,CAN-SPAM法案を満場一致で承認。同法案の最終版は,マーケティング業者に有効な返信アドレス,あるいは配信停止手続きのWebサイトへのリンクを掲載するよう義務付けている。ただし,メール・ヘッダーの偽造や違法なポルノ画像広告の送信といった最も悪質な手段の取り締まりにおいては,妥協がみられるという。なお,ブッシュ米大統領は年内に同法案に署名する意向を示している。

 AOL社は,「この新たな法規制は,消費者の保護に向けた大きな勝利だ。これにより,AOLメンバーのオンライン体験が向上し,あらゆるメディアの受信箱からスパム・メールを一掃できる」と述べた。また,「当社は,CAN-SPAMの米国議会通過と,バージニア州のスパム対策法案に貢献してきた。今後もスパム撲滅のための活動を続ける。法規制への準拠,アンチスパム・ツールや機能の開発に取り組むほか,AOLメンバーに違法な手段で迷惑メールを送りつけた業者に対しては,裁判を起こすことも考えている」と,付け加えた。

 一方,英MessageLabsは「CAN-SPAMは,スパム対策の新たな武器となるだろう。しかし,このまま(大統領が)署名しても,すでに増加しているスパム・メールがさらに増える可能性がある」とする声明を,12月9日に発表している。

 「スパム・メールの3分の2がオープン・プロキシ経由で送られており,米国の法律が及ばないロシアや中国などのインターネット・カフェから送信されるスパム・メールが増加している。こうしたことを考えると,残念ながら,同法案が効果的に消費者や企業をスパム・メールから保護できるとは思えない。有効な技術,法規,法施行が揃ってこそ,スパム・メールとの戦いに勝つことができる」(MessageLabs社CTOのMark Sunner氏)

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[発表資料(AOL社のプレス・リリース)]
[発表資料(MessageLabs社のプレス・リリース)]