米AOL Time WarnerのAmerica Online(AOL)は,会員に対して繰り返し大量のジャンク・メールを送信したとして,12を越える企業と個人に対して5つの訴訟を起こした。同社は,バージニア州の米連邦地方裁判所に提訴したことを米国時間4月15日に発表した。

 同社によれば,これら企業と個人はおよそ10億通のスパムをAOL会員に対して送信している。同社は会員から800万件を越える苦情を受けたとしている。訴訟では,1000万ドルの損害賠償と直ちにスパム送信行為を停止するように求めている。

 AOLは,相手方が電子メール・アドレスの偽造,AOLや会員が設定したスパム・フィルタの意図的な回避,AOLが禁じている大量送信メールに対するポリシーに反するその他の不正な方法を用いてスパムを送信した,として申し立てている。スパムは,ポルノ,住宅ローン,ソフトウエア,ステロイド,ケーブルTVのスクランブルを解除する製品など,さまざまな商品を宣伝する内容だった。

 会員からのスパム・メールの報告は,前年10月に同社がリリースした「AOL 8.0」に搭載される「Report Spam」ボタンを使って寄せられたという。

 今回の訴訟は,同社にとって2001年5月以来の提訴となる。同社は100を企業と個人に対して20の訴訟を含むアンチスパム・キャンペーンを展開している。最近では,一団体から690万ドルの賠償を勝ち取っている。

 またキャンペーンの一環として,同社の執行副社長兼AOL総合委員会のRandall Boe氏はスパマー達に警告を与えている。同氏は,「スパマー達へ。君達は逃げても,隠れられない。AOLにスパムを送信するなら,遮断しよう。スパム・フィルタをすり抜けるのならば,会員の苦情で君達を追跡して裁判所に引き出そう」とするステートメントを木曜日に発表した。

 今回の訴訟では,2名が実名,そしてその他はまだ特定できていないため「John Doe」として告訴されている。しかし,提訴によりAOLは,サービス・プロバイダを召喚してスパマーの追跡を行なう権限が与えられる。

 また,控訴ではアンチ・スパムの連邦法の必要性も訴えている。先週,2名の上院議員が「CAN-SPAM Act」と呼ばれる法案を再提出している。同法が通れば,返信アドレスへの偽造アドレスの使用が連邦法に違反するようになるという。

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