米Texas Instruments(TI)は,新素材の高誘電率(High-k)ゲート絶縁膜を使った半導体製造方法について米国時間12月9日,明らかにした。ワシントンDCで開催中の「International Electron Devices Meeting(IEDM)」で,技術論文を発表する予定である。「ムーアの法則を維持する重要な開発」(TI社)としている。

 トランジスタは微細化が進んでいるが,High-k素材を用いることで,薄くなったゲート絶縁膜の漏えい電流を許容レベル内に低減できる。TI社の手法では,High-k素材である窒化ハフニウムシリケート(HfSiON)をトランジスタに統合する。標準的なCMOS製造行程における熱および電気の適合,スレッショルド電圧の安定といった課題を克服しているという。

 ハフニウム・ベースのゲート絶縁膜の可能性については,数年前から業界で知られていたが,ハフニウムの量や適用する方法などが不明確だった。

 「TI社が発見した効率的な手法により,ハフニウム・ベースのHigh-kゲート絶縁膜を使った素材の組み合わせは,いずれ現在の酸化シリコン層にとって代わるだろう」(TI社シリコン技術開発部門上級バイス・プレジデント兼ディレクタのHans Stork氏)

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