米Computer Sciences(CSC)が米国時間10月29日に,企業によるサプライ・チェーン管理(SCM)システムの導入状況に関する調査結果を発表した。それによると,ほとんどの企業が総合的なSCMの導入に手を焼いているという。「SCMが戦略通りに運用できている」という企業は17%未満だった。

 調査では,SCMの導入の進み具合を5段階で表し,最高のレベル5を「WWWベースのツールを導入し,外部の主要パートナまで含めた完全なSCMを運用」と定義した。調査対象とした142社の約90%がレベル1~レベル3に入り,そのうちほとんどが「SCMを社内でしか利用していない」というレベル1または2となった。

 こうした結果について,CSCと共同でSCMの調査を行っているChuck Poirier氏は「回答者の半数以上が正式な戦略を立てておらず,売り上げに対するSCMの影響について認識していないという状況をみれば,驚くに当たらない」と述べる。「戦略や正しい評価を下せる手段がなければ,SCMと業務計画は連携するはずがなく,効果をきちんと示すこともできない」(同氏)

 また調査結果から,企業は実にさまざまな種類のソフトウエアに投資しており,技術への依存度が大き過ぎることも判明したという。投資の多かった技術には,ERP(63%),在庫プランニング(53%),WWWベース・アプリケーション(52%),プランニング/スケジューリング(48%),電子調達システム(47%),倉庫管理システム(42%),企業間取引(41%)がある。

 「この結果は,(企業が)ソフトウエア・ソリューションの“特効薬”を求めていることの現れだ。多くの企業では,技術を効果的に適用するのに必要なプロセス改善を行う前に,最新アプリケーションを購入してしまった」(Poirier氏)

 そのほかの主な調査結果は以下の通り。

・現在でも,文化的な問題がSCM導入に大きな影響を与えている。「SCMに関する活動とITの取り組みをうまく連携できている」という回答は40%にとどまった。またレベル1および2の企業は,社外関係者によるプロセスの共有やアクセスについて,信用面の問題に苦慮している。

・半数以上の企業は,「SCM導入により運用コストを5%以上削減できた」と回答した。25%の企業は「売上高が1%~5%増加した」と答え,15%近くが「売上高が6%~10%増加した」という。

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