米QUALCOMMは,フランスのThomsonとのジョイント・ベンチャーである米Technicolor Digital Cinema(TDC)の株式をThomson社に売却する。両社がそれぞれ現地時間8月21日に発表した。これによりThomson社は単独でTDC社を所有することになる。なお両社は,金額などの詳しい取引条件については明らかにしていない。

 TDC社は,映画館向けのオンライン配信サービスを提供する企業。圧縮,暗号化,配信,保存,再生など総合的なデジタル映画サービス/ソリューションのほか,映画館向けの管理システムや,メンテナンス/サポートも手がける。同社はQUALCOMM社のAuditorium Management Systemsベースのオンライン配信対応デジタル映画映写システムを,世界各地にある40館弱の映画館に設置したという。

 この買収により,QUALCOMM社の開発したマルチ・スクリーン対応Theatre Management System(TMS)の製造,販売,サービスは,TDC社の管理のもと,Thomson社傘下の米Technicolorが独占的に行う。ただしQUALCOMM社は,今後もデジタル映画製品や技術の開発と販売を行うとしており,「Technicolor社との密接な協力関係を維持する」(QUALCOMM社)。

 Thomson社とQUALCOMM社は,「株式をThomson社に移すことで,両社はTDC社のシステムとサービス・モデルを活用しつつ,お互いの主要事業に注力できる」としている。「Technicolor社はデジタル映画関連のサービス提供などを行い,QUALCOMM社は技術開発に取り組める」(両社)

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