米Texas Instruments(TI)は「m15」と呼ぶ,デジタル式映画館向け画像投影技術「DLP Cinema」の新版を米国時間2月27日に発表した。セキュリティ,柔軟性,可用性を向上させたという。m15を採用したデジタル映画プロジェクタは,ベルギーBarcoと米Christie Digital Systemsがリリースする。m15のデモンストレーションは,ネバダ州ラスベガスで3月4日から7日にかけて開催される「ShoWest」カンファレンスで行う予定。

 DLP Cinema技術は,TI社の画像投影技術「Digital Light Processing(DLP)」を映画業界向けにしたもの。DLPは,格子状に配置した131万個の微小な鏡を持つ「Digital Micromirror Device(DMD)」と呼ぶLSIを使い,このLSIに反射させた映像をスクリーンに投影する。DLP Cinemaでは,3個のDMDを使用する。

 m15の特徴は次の通り。

・「CineLink Security Management」:サーバーとプロジェクタ間を接続時の暗号化に対応しセキュリティを向上させている。電子透かし/指紋に対応することで,海賊版の追跡が容易になる。遠隔地からプロジェクタの診断と管理が可能になる。

・「CineCanvas Image Management」:水平/垂直方向の台形トリミング,上辺/下辺のゆがみ補正,テレシネ変換などのスクリーンに合わせたサイズ変更機能を提供する。さらに「CineCanvas」では,複数言語/フォントを使い映像に字幕などの文字を合成できる。投影する映像とは別の画像を合成することも可能になる。

・「CinePalette Color Management」:1色を表現する際に使うデータのビット数を従来の14ビットから15ビットに拡大することで,35兆色を投影できる。この色の数は,HDTV(高精細度テレビ)の2000倍に相当する。これにより,超低照度での再現性がスムーズになり,コントラスト比も向上した。

・「CineBlack Contrast Management」:映像の微妙な陰影を忠実に再現するための,漆黒から純白におよぶ階調投影能力を持つ。

 なお,現在稼動中のプロジェクタも,新版にアップグレード可能という。

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