「携帯電話ユーザーがキャリアに求めているのは,使用頻度や通話時間など,ユーザーの利用状況を考慮した料金プランである」。フランスのCap Gemini Ernst & Youngが,米Harris Interactiveに依頼して行った調査結果を米国時間6月4日に発表した。

 調査は,18~55歳の米国の携帯電話ユーザー1302人を対象に,2003年3月20日~31日にかけて実施したもの。Harris Interactive社は,ユーザーの月額使用料金やキャリアに対する忠誠心によって,携帯電話ユーザーを以下のカテゴリに分類している。

・高額ユーザー(High Spenders):月額使用料金が平均76ドルのユーザー

・準高額ユーザー(Medium Spenders):月額使用料金が平均50~75ドルのユーザー

・長期ユーザー(Loyalists):同じキャリアを13カ月以上使用しているユーザー

・短期切り替えユーザー(Frequent Switchers):過去12カ月間にキャリアを変更し,以前利用していたキャリアの契約期間が12カ月に満たないユーザー

・新規ユーザー(New Users):キャリアとの契約期間が12カ月に満たない新ユーザー
・潜在長期ユーザー(Potential Loyalists):短期切り替えユーザー,新規ユーザーに該当せず,長期ユーザーには契約期間が満たないユーザー

 キャリアが高額ユーザーの顧客維持率を上げたいと考えるのは当然である。しかし,高額ユーザーは準高額ユーザーと比べ,通話料金が低い時間帯に集中して携帯電話を利用する傾向があり,キャリアがすべての高額ユーザーの確保に努めることは,必ずしも得策でないことが分かった。

 キャリアが最も注力すべきユーザー層は,高額ユーザーで,なおかつ長期ユーザーと潜在長期ユーザーに該当するユーザーである。これらのユーザーは,無線サービスに費やす金額が最も高額であることに加え,携帯電話ユーザーの77%を占めている。また,キャリアを変える確率が低いため,ユーザー維持にコストがさほどかからない。

 「携帯電話が日用品化したことで,ユーザーは以前のように通話時間1分当たりの料金だけを重視することはなくなった。キャリアを評価する際の判断材料として,総合的な料金プランの重要性が高まっている」と,Cap Gemini Ernst & Young社Telecom Media Networks事業担当副社長のPatrick Hayes氏は指摘する。ユーザーの満足度や忠誠心は,キャリアによる最適な料金プランの提案,料金プランの容易な変更,問題発生時における迅速な対応,製品やサービスの頻繁な紹介などが,大きく影響している。

 また調査から,各キャリアに対するユーザーの満足度と忠誠心も明らかになった。すべてのキャリアの中で,最も評判が高かったのは,ドイツT-Mobile Internationalの米国法人T-Mobile USAである。大手キャリア3社に限定すると,首位は米Verizon Wireless,2位はAT&T,最下位は米Sprintだった。

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