「西欧には現在,プリペイド・サービスを利用している携帯電話ユーザーが1億7000万人いる。モバイル事業者はこれらのユーザーに注力することで,次世代モバイル・サービスの売上高を伸ばすことができる」。英Analysys Researchは英国時間7月2日,無線データ市場に関する調査結果を発表した。

 「プリペイド・サービスの利用者は,西欧の携帯電話ユーザーの63%を占めており,今後少なくとも5年間は市場で大きな割合を占めるだろう」と,Analysys社のEmily Turnbull氏は予測する。

 Analysys社によると,プリペイド・サービスの利用者は次世代無線データ・サービスにとって重要な顧客層となる。しかしモバイル事業者の多くは,マルチメディア・メッセージングやエンタテインメントなどの新しいGPRSサービスをプリペイド・サービス利用者に提供していない。

 Turnbull氏は,「モバイル事業者は,商業的な優先度や技術的な障害を理由に,サービス加入者と同じコンテンツやデータ・サービスを,プリペイド・サービス利用者に提供するのを遅らせてきた」と説明する。しかし「GPRSやUMTSといった新しい技術による収益機会をつかみたいのであれば,顧客すべてに同じサービスを提供することが重要だ」(同氏)と指摘した。

 モバイル事業者が2003年初頭までに,プリペイド・サービス利用者に次世代サービスを提供できれば,GPRSおよびUMTSデータ・サービス市場は,2007年に160億ユーロ(約157億4000万ドル)規模に達する見通しだ。

 モバイル事業者は今後,プリペイド・サービスの課金システムを見直し,売上高の回収漏れを防ぐほか,GPRSローミングに対応した新しいシステムを導入する必要がある。また,プリペイド・サービス利用者のサービス利用パターンを把握し,顧客サービスの向上に努めることが重要だ。

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