英ARC Groupは,3G携帯電話業界の動向を調査・分析した結果を米国時間5月23日に発表した。北米と欧州の1200人の業界関係者を対象に行った二つのアンケート調査をまとめたもの。

 北米におけるセルラー/PCSの調査では,多くの回答者がTDMA事業者のGSMへの移行を予測している。その一方で,GPRSの後継であるEDGEへの支持も,適用分野によっては相当あることがわかったという。CDMA 2000の1xRTTと1xEVは,北米の無線データ通信市場の成長において主要な役割を果たすと考えられる。

 欧州におけるGSMについての調査では,事業者の積極的な事業計画がうかがえたという。これら欧州の事業者は,今から2001年末までに各国で相当数のGPRS網を立ち上げるという計画を立てている。

 北米の事業者を対象にした調査では,現在のTDMA事業者の38%がGSMとGPRSを経て第3世代携帯電話へ移行すると予測していることがわかった。しかし,GPRSサービスの開始時期は,平均して2002年後半を考えている。欧州における同様の調査では,ほとんどの回答者が今年にも始めるという計画を立てている。

 TDMAがいつまで残るかに関しては明確でない。北米のセルラー/PCS調査では,29%のTDMA事業者がTDMAとEDGEの経路から3Gへ移行するとしており,北米事業者のTDMA技術への支持は続いている。このことは,今後5年間でEDGEは限定的な役割を持つ,あるいはまったく役割がない,と考えている事業者が21%であることからも裏付けられる。

 しかし興味深いのは,EDGEが大都市圏外の第3世代携帯電話のライセンス所有者によって部分的に支持されると考えられていること。これとは対照的に欧州では,事業者の38%がEDGEは将来的に若干の役割がある,または役割は一切ないと予測した。

 CDMAの新技術は,北米で大きな影響を与えると予測されている。北米のセルラー/PCS調査に回答した事業者の72%が,今年末までにはCDMA 2000(1xRTT)で提供されるサービスが始まると感じているという。

 「北米でGSMに対する支持は増えている。しかしそれが他の技術が不要になるほどではないことが興味深いところ。cdmaOneは,急速に成長している。韓国ですでに展開が始まっている1xRTTは,数カ月以内にも北米で始まる」(ARC Group社コンサルタントSteven Hartley氏)。

 このほか,北米事業者の33%が「2005年までに,モバイルVPN事業者の売り上げは,無線サービス市場全体の11~20%を占めるようになる」と予測していることもわかったという。

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