投資銀行の米Williams Capital Group(WCG)が米国時間6月12日,米国における携帯電話の利用状況に関する調査を発表した。それによると,今後18カ月で無線データ・サービスは現在の5倍近いユーザーに浸透するという。2003年末には携帯電話ユーザーの約30%が,携帯電話を使ってテキスト・メッセージや電子メールの送受信,ゲーム,ネット・サーフィンを行うようになる。

 WCG社が2002年5月に,米国の400世帯を対象に電話によるインタビューを実施したところ,300人が携帯電話を「所有している」または「購入予定」と回答した。このうち無線データ・サービスの存在を知っている回答者は84%にものぼった。

 携帯電話の利用者と購入予定者のうち,今後18カ月間でテキスト・メッセージングまたは電子メール機能を利用すると回答した割合は26%,ネット・サーフィンやゲームをすると回答した割合は18%だった。またそのようなサービスを利用するために,「月額料金として10~15ドルの追加料金を支払ってもよい」,とする回答者は15%強を占めた。

 WCG社副社長兼株式担当アナリストのRashad Barajakly氏は,無線データ・サービスに対する意識の高さを「意外だった」と述べている。同氏は「無線データ・サービスが当初の予測を上回る勢いで浸透するだろう」と,つけ加えた。

 米国の無線事業者は欧州やアジアの事業者と比べ,無線データ・サービスを提供するのが遅かった。「マーケティングを精力的に行うわけでもなく,価格設定も高すぎた」(同氏)。このため米国における無線データ・サービスの利用率は,テキスト・メッセージングが5.3%,ゲームとネット・サーフィンが2.5%と極めて低い。一方,欧州やアジアでは,テキスト・メッセージングの利用率が50%に達している国もある。

 米国の無線事業者は,マーケティングを積極的に行い,手頃な価格で優れたサービスを提供することで,無線データ・サービスの利用率を高めることができる。「月額料金にデータ・サービスを含めたり,最初は無料でサービスを提供して,利用率が伸びたところで課金するといった方法が考えられる」(同氏)

 このほかの調査結果は以下の通り。

・携帯電話を使った音声サービスの利用率は,現在の47%から2003年末には55%へと増加する。

・現在,無線データ・サービスの利用率が最も高いのは18~24歳のユーザー層で,この傾向は今後も継続する。またこの年齢層は,年上の年齢層よりも,月額10~15ドルの代価を支払っても構わないと考えている。

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