米J.D. Power社は米国時間9月25日に,米国における無線通信業界のサービスに関する調査結果を発表した。携帯電話による通話料金の平均値は下がり続けているが,初めて携帯電話サービスを利用する加入者数が減少していることが分かった。

 調査対象となった全米27市場の1万7659世帯において,57%が携帯電話サービスを利用している。これは1995年から年平均11%増加して1.07倍に成長していることになる。しかし,成長速度は鈍化している。2001年と2002年の間で,全体の成長率は7.6%に低下しており,将来的な普及速度も引き続き落ちて行くと予測される。現在携帯電話を利用していない消費者の中で,翌年サービスに加入する意図がある,と答えたのは5.8%だけだった。

 同社によれば,顧客ベースの拡張が難しくなってきたため,無線サービス・プロバイダは,顧客の保持戦略に注力し始めている。1995年に56セントだった1分間の通話料は,現在11セントに落ちている。そのため,顧客1人につき同じ収益を上げるのが難しくなっている。新規顧客の獲得には,1人当たり300~420ドルかかるため,通信事業者は顧客保持プログラムとより優れたサービスで顧客保持に真剣に取り組む必要があるという。

 調査によれば,より高い顧客満足の提供が,顧客保持と増収に向けて重要になっていることが明らかになった。全体的に顧客満足度が高かったトップランキングのプロバイダは,顧客保持期間が平均して2カ月長く,一人の顧客つき1カ月におよそ4ドル多く収益を上げている。満足した顧客が再び同じ業者を選ぶ確率は,満足度が平均以下のプロバイダの顧客と比べて56%高くなっている。

 業者別にみると,2002年において米AT&T Wireless社が15市場で全体的な顧客満足度が1位だった。Verizon Wireless社がこれに続き,9市場で首位をおさめ,Cingular Wireless社が3市場,T-Mobile社が2市場で1位だった。

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