米Strategy Analyticsが米国時間12月19日に,2003年の世界無線通信業界に関する予測結果を発表した。それによると,アジアでは携帯電話加入者が確実に増加するが,すでに普及している市場では消費者向けマルチメディア・メッセージング・サービス(MMS)および第3世代(3G)携帯電話が期待外れの結果になるという。

 またStrategy Analytics社では,企業向けインスタント・メッセージング(IM)とショート・メッセージング・サービス(SMS)が急成長するとみている。

 そのほかの主な予測結果は以下の通り。

・携帯電話加入者数は12億人を超えるが,3GのW-CDMA加入者は500万人に届かない:
 欧州の通信事業者が次々と3Gサービス開始を延期するなかで,NTTドコモが相変わらず単独でW-CDMA技術を牽引する。2002年と同じく2003年も,W-CDMAの周囲で大きな変化は起らないだろう。

・米Verizon Communicationsがモバイル企業の世界トップ10から脱落:
 Strategy Analytics社では,2003年に英VodafoneがイタリアのOmnitelをVerizon社傘下から外すとみている。この影響でVerizon社がトップ10圏外になるという。

・ダウンロード・ゲーム市場が20億ドル規模に急成長:
 消費者向けアプリケーションのなかではダウンロード・ゲームが最も急速に成長する。サード・パーティ配信業者と新規参入業者が同市場で積極的に活動するため,価格競争が激しくなり,価格が低下する。

・画像付きメッセージングの拡大は予想を下回るペース:
 Strategy Analytics社はMMS利用が広がらない理由として,ネットワーク間の相互接続の進みの遅さ,電話機から電子メールMMSを送信する際の画像品質に関する解決の難しい問題,カメラ内蔵電話機の販売台数の割合が7%にとどまること,消費者に対する啓蒙のまずさが残る状況,といった項目を挙げている。

・企業におけるSMS/電子メールの利用拡大が好調で60億ドル規模の市場になる:
 企業市場ではIMが最も大きく成長し,2007年には20億ドル超規模に拡大する。年平均成長率は58%にもなる。

・短期的には主に消費者がMMSを利用するが,その後は企業市場で受け入れられる:
 MMSやそのほかの無線写真/ビデオ対応メッセージング手段は,医療サービス/建築/メーカーなどの企業分野で広まる。こうした分野では,遠隔地にいるユーザーがMMSなどを使用して,中央で待機している専門家からアドバイスを受けるようになるという。Strategy Analytics社の予測によると,企業が利用する写真/ビデオ・メッセージングの世界市場規模は,2003年に拡大して10億ドルを超える。

・無線対応PDAの出荷台数が160%増加:
 OSの新版をリリースしたことが好材料となり,米PalmがPDA用OSの市場シェア50%を維持する。PocketPCベースのベンダーでは,米Hewlett-Packardと東芝がリードする。

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