米Gartnerは米国時間5月15日に,取り外し可能な半導体ストレージ製品市場に関する調査結果を発表した。それによると,2002年における全世界の売上高は21億3000万ドルで,前年の12億3000万ドルに比べて72.9%増加したという。「NAND型フラッシュ・メモリー・メーカー間の激しい競争の影響で製造コストが低下し,消費者による半導体ストレージ製品導入の追い風になっている」(Gartner社)

 取り外し可能な半導体ストレージ(Removable Solid-State Storage:RS3)は,フラッシュ・メモリーなどの不揮発性メモリーを使用した小型ストレージ機器。ユーザーが持ち運べる程度の大きさで,ハード・ディスク装置と違い可動部品を持たない。主な製品としては,フラッシュ・カード類やUSBフラッシュ・ドライブといったものがある。

 Gartner社半導体グループ担当アナリストのJoseph Unsworth氏は,「フラッシュ・カードとUSBフラッシュ・ドライブ市場では価格が重要な要素で,消費者は予算内で買える最大容量の製品を購入する」と指摘する。

 「そのため同市場は,最新の半導体技術を導入することによるコスト削減で大きな恩恵を得られる。韓国Samsung Electronicsや東芝という主要NANDフラッシュ・メモリー機器メーカーの競争により,ビット当たりのコスト低下が加速しており,その影響で,フラッシュ・カード市場の成長は今後も継続するだろう。それに対し,USBフラッシュ・ドライブ市場の爆発的な拡大は,“USBドライブ”という新しい利用方法が急速に受け入れられたことが原因だ」(同氏)

 USBフラッシュ・ドライブ市場はまだ初期段階にあるため,2002年のRS3市場はフラッシュ・カード・メーカーが優勢だった。トップの米SanDiskの市場シェアは25%。同社は自社のメモリー製造工場を持ち,さまざまな種類のフラッシュ・カードを製造していることから競争力が高い。東芝はNANDベースのフラッシュ・メモリーを製造する自社工場と同社の販売チャネルを活用することで,売上高を前年比205%増とし2位に躍進した

■全世界の取り外し可能半導体ストレージ機器売上高(推定値,単位は1000ドル)

企業名            2002年                     2001年               成長率(%)
             売上高  市場シェア(%)   売上高  市場シェア(%)  
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SanDisk     538,523      25.2          308,800      25.0            74.4
東芝        344,300      16.2          113,065       9.2           205.0
ソニー      317,500      14.9          206,000      16.7            54.1
日立        181,000       8.5          141,000      11.4            28.3
松下        171,035       8.0           61,106       4.9           180.0
その他      578,501      27.1          402,442      32.6            43.7
合計      2,130,859     100.0        1,232,413     100.0            72.9
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出典:Gartner社のDataquest(2003年5月)

 RS3市場を製品別にみると,フラッシュ・カードの売上高は19億9500万ドルで,前年の11億9600万ドルに比べ66.8%増加した。USBフラッシュ・ドライブの売上高は1億3560万ドルで,前年の3630万ドルから大幅に増えた。

 フラッシュ・カードの中では,コンパクト・フラッシュの売上が最も高かった。メモリー・スティックは2位でSDカードを上回った。2001年に2位だったスマート・メディアは2002年に4位となり,順位を大きく下げた。

 「スマート・メディア・カードがランク・ダウンした一因として,xDカードの登場が挙げられる。2002年にxDカードは急成長しているが,同年年第4四半期に発売されたばかりということを考えると特筆に価する」(Unsworth氏)

 地域別にみると,米国の売上高が全世界の36%を占めてトップ。日本は家電製品需要が高い影響で25%となった。

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