FASL発表  富士通と米AMDは4月1日、フラッシュ・メモリーの専業メーカーを共同で設立すると発表した。今年7月にも、米国に「FASL Limited Liability Company」を設立する。

 新会社は、フラッシュ・メモリー製品の開発・製造・マーケティング業務を担当する。新会社が出荷する製品は、富士通とAMDが販売する。「当社の強みは、メモリーやプロセサという技術を、システムやソフトと組み合わせることができる、事業の幅広さだ。世界最強のフラッシュ・メモリー専業メーカーをAMDとともに作り上げていきたい」と、富士通で電子デバイス業務を統括する小倉正道常務(写真右)は、新会社にかける意気込みを語る。

 両社は1993年から、フラッシュ・メモリーのチップを製造する合弁会社「富士通エイ・エム・ディ・セミコンダクタ(FASL)」を国内に設立して運営してきた。今回の発表を機に、組み込み作業やテストといったチップ製造後の業務や研究開発、マーケティング業務も追加して、新会社として発足させる。

 小倉常務は、「携帯電話やデジタル・カメラといった製品の普及で、フラッシュ・メモリー市場は大きくなってきた。さらに、フラッシュ・メモリーを利用する製品の種類が多様になってきたため、これまで以上に効率よく事業を進める必要が出てきた」と、新会社設立の理由を説明する。AMDでメモリー事業を担当するバートランド・カンブー上級副社長(写真左)は、「新会社で研究開発やマーケティングといった業務を一体化させることで、より迅速に事業を展開できる」と、期待を寄せる。

 新会社の会長には富士通の小倉常務、CEO(最高経営責任者)にはAMDのカンブー上級副社長がそれぞれ就任する予定。新会社の出資比率は、AMDが60%で富士通は40%となる見込みである。「メモリー分野を重視する当社のスタンスは今後も変わらない。出資比率は(AMDよりも)低いが、新会社の経営に積極的に関与していく」と、小倉常務は言い切る。

西村 崇=日経コンピュータ