米Gartnerは米国時間5月13日に,世界ITサービス市場に関する調査結果の速報を発表した。それによると,2002年におけるエンド・ユーザーのITサービス支出は総額5億3600万ドルで,前年比0.6%減少した。ITサービス支出が前年と比べて落ち込んだのは,これが初めてという。
「プロジェクト・ベースのサービス,コンサルティング,開発と統合サービスが最も不振だった。一方,急速に成長したのは,アウトソーシングやプロセス管理などのマネージド・サービスだ」(Gartner社世界ITサービス・グループ部門主席アナリストのKathryn Hale氏)
Hale氏によると,多数の企業が,コスト削減の最良手段としてアウトソーシングに目を向けているという。不況が続く中,どの企業も予算が厳しい。プロジェクト・ベースのサービスが落ち込んだのは,企業が大規模なプロジェクトや技術的難易度の高いプロジェクトを避ける傾向にあるためだ。
サービス・プロバイダ別でみると,米IBMが売上高ベースのシェア7.5%を獲得し,2002年のITサービス市場の首位に立った。ただし,IBM社の収入は増加したが,米PricewaterhouseCoopersから買収したコンサルティング事業PwC Consultingの業績は低迷した。
■2002年における世界ITサービス市場のエンド・ユーザー支出の速報(単位:100万ドル) 企業 2002年 2002年 2001年 2001年 成長率 売上高 市場 売上高 市場 シェア シェア (%) (%) (%) ---------------------------------------------------------------------- IBM 40,139.0 7.5 40,664.0 7.5 -1.3 EDS 21,122.0 3.9 20,702.0 3.8 2.0 富士通 13,867.4 2.6 14,351.6 2.6 -3.4 Hewlett-Packard 12,211.2 2.3 12.963.6 2.4 -5.8 Accenture 11,514.0 2.1 11,599.8 2.1 -0.7 その他 437,402.1 81.5 439,291.5 81.4 -0.4 合計 536,255.7 100.0 539,572.5 100.0 -0.6 ---------------------------------------------------------------------- 出典:Gartner社Dataquest
地域別では,アジア太平洋地域と日本だけが,前年と比べて成長した。「アジアの多くの国々は,世界経済に依存している。しかし,アジア全体ではITサービス支出が前年比3%増加した」(Hale氏)
アジア以外のすべての地域はITサービス支出が減少した。特に打撃を受けたのは中南米だ。中南米は政治と経済が不安定で,とりわけブラジルとアルゼンチンは,米国の低迷の影響も受けた。ちなみに米国は前年比7.2%落ち込んだ。
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