米Gartner GroupのDataquestは米国時間3月5日に,事業プロセス・アウトソーシング(BPO:Business Process Outsourcing)市場の動向に関する調査結果を発表した。それによると,最高レベルの業務処理を必要とし,明確なコスト見通しを求める企業が,BPOを戦略的に利用するケースが増えているという。

 またBPOプロバイダも,専門分野に特化したプロセスの代わりに,より包括的なソリューションの提供を始めている。BPOの提供にかかるコストを削減して利用方法を簡略化するなど,より戦略的なサービスの展開に努めている。

 BPOの需要は単独の業務処理に対応する「シングル・プロセス」から,複数の業務処理に対応する「マルチ・プロセス」への急速に移行しつつある。コラボラティブ・アプリケーションやWWWベース技術の統合が,この移行を促進している。複数プロセスのやり取りによって発生するデータをシームレスに統合し,一括管理することが可能になったからだ。多種多様のプロセスを提供するBPOプロバイダや,複数のBPOプロバイダの“ゼネコン”的役割を果たすBPOプロバイダが登場したことも,この傾向を裏付けている。

 「BPO市場はまだ未熟であり,一度に複数のプロセスをまとめて外注する企業はまだ少ない。マルチ・プロセスのアウトソーシングは一括契約としてではなく,複数の契約を拡大するかたちで,段階的に行われるだろう」(Dataquest社IT Servicesプログラム上級アナリストのRebecca Scholl氏)

 またDataquest社は,アウトソーシング戦略の一環として,海外へ外注する米国企業の増加を指摘している。BPOの海外市場はまだ未熟だが,大企業にはこれまで会計管理,支払い処理,医療文書作成などの業務を海外支社に外注してきた背景がある。

 このためサービス・プロバイダは,海外からBPOサービスを提供できるように,優秀な人材が多く,米国より賃金コストが低い国に,サービス・センターの設置を検討している。この場合,比較的優れた電気通信およびネットワーク・インフラをもつ国であることが要求される。

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