米GartnerのDataquestがシンガポールで現地時間2月25日,中国のITサービス市場に関する調査結果を発表した。それによると同市場の売上高は,2002年の42億ドルから,2003年には18.1%増の49億ドルに達するという。また2006年まで年平均19.6%で成長し,89億ドルに達すると見込む。

 中国のITサービス市場は,世界で2番目に速いペースで成長する。しかし,米国,英国,日本やオーストラリアといった成熟市場とは反対に揺籃期にあるため,ITサービス・ベンダーはさまざまな課題に直面する。Dataquest社アナリストのJacqueline Heng氏は,「多くの多国籍企業はまず,中国のユーザーやサービス・プロバイダにITサービスの価値を認識させることから始めなければならない」と,説明した。

 しかし,先行きが暗いわけではない。「なかには電気通信業界のように,すでに投資の見返りを得ている業界もある。また今後,金融業界に向けたITサービスが急速な成長を遂げるだろう」(Heng氏)

 中国の金融機関は,WTO(世界貿易機関)への加盟を契機に,自由市場での競争に備える必要がある。このため,金融業界向けITサービスは堅調に伸びる見通しだ。「中国の銀行はまだITを十分に活用していない。また,多国籍銀行の中国市場参入,北京オリンピックに備えたクレジット・カード・インフラの整備,保険分野の成長などが,ITサービス市場の成長を後押しする」(Dataquest社IT垂直業界担当アナリストのKingshuk Hazra氏)
 
 中国のITサービス市場を分野別にみると,ハードウエア/ソフトウエアの保守およびサポートといった製品サポート・サービスが,全体の25.3%を占める。この割合は2006年までに24.1%へ縮小する見通しである。しかし,中国は製品サポート・サービスによる売上高がアジア太平洋地域で最も高い国になることが予測されている。同サービスによる売上高は,2006年までに23億ドル規模に達するだろう。

 また,自由市場での競争に備え,コンサルティング分野の需要が急伸する。コンサルティング・サービスは2006年まで最も急速に成長する。

 一方,アウトソーシング分野の成長は緩やかだ。これはアウトソーシングの利用に先立ち,ビジネス・プロセスの自動化を行う必要があるからだ。

 「中国ITサービス市場の成長は,銀行が抱える負債,国内の経済基盤の格差,小規模な中流階級層,緩慢な地方分権化といった障害を乗り越える必要がある」(Heng氏)

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