「ITアウトソーシングの平均契約期間は6年，平均契約額は4700万ドル」と米Gartner

早坂利之

2003.05.10

　米Gartnerは米国時間5月5日，世界ITアウトソーシング市場について調査した結果を発表した。それによると，過去14年間の平均契約額は4700万ドルで，平均契約期間は6年だという。

　調査は，1988年以降に交わされたアウトソーシング契約1055件を対象に実施した。これらの契約には，国内外の14業種における，ITアウトソーシング・ベンダー190社以上が含まれる。調査対象となったアウトソーシング契約はすべて，契約額，契約期間，契約内容，発注企業，受注企業が公開されているものばかりである。

　1億ドル未満のアウトソーシング契約が最も多く，全体の54％を占めた。契約額が10億ドル以上の大口契約は全体のわずか9％だった。しかし，契約額合計の3892億ドルのうち，1億ドル未満の契約の合計金額が占める割合は4％，10億ドル以上の大口契約の合計金額が占める割合は66％に達した。

　Gartner社主任アナリストのBruce Caldwell氏によると，「金融サービス業界の大口契約数は，政府機関に匹敵する17件である。電気通信業界が12件，運送業界が11件，製造業界と航空／防衛業界が8件，ハイテク業界が7件と続いている」という。

　年間の平均契約額が最も高い業界は，航空／防衛業界（8820万ドル），自動車業界（8740万ドル，1996年の米General Motorsと米EDSによる400億ドル相当の契約は含まず），ハイテク業界（8050万ドル），電気通信事業界（7990万ドル），金融サービス業界（4960万ドル）である。

　なおGartner社は，ITアウトソーシングを「1件以上のITサービス（IT管理サービスのいずれか1種類を含む）を委託する複数年の契約」と定義している。IT管理サービスには，運用サービス，アプリケーション管理サービス，ヘルプデスク管理サービスなどが含まれ，技術や社員といった資産移転も対象としている。